2016 Fiscal Year Annual Research Report
表面修飾による酸化鉄表面のスピン偏極度向上機構の解明と有用性の検証
Project/Area Number |
16J00053
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
樋浦 諭志 北海道大学, 情報科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | マグネタイト / 走査型トンネル顕微鏡 / 表面電子状態 / 表面修飾 / 酸化物 / 水素吸着 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、水素吸着によるFe3O4表面のスピン偏極度向上機構を明らかにし、界面修飾により高スピン偏極界面を実現することを目的としている。本年度では、水素吸着により生じる最表面および表面第二層の鉄原子のフェルミ準位近傍での電子状態変化を走査型トンネル顕微/分光法(STM/STS)により調べた。また、表面スピン状態測定のための装置改造の検討を行うとともに、炭素原子蒸着機構を測定チャンバに新たに設置し、炭素原子を蒸着しながらのSTM測定を可能にした。以下に具体的な研究実施状況を示す。
1. 通常のSTM測定で使用する一定電流モードではなく、マルチパススキャン法を活用することによりフェルミ準位直下の電子状態密度の実空間マッピングをおこなった。水素吸着により表面鉄原子のフェルミ準位直下の状態密度が大きく増加するというSTSスペクトルを再現する結果を得ることに初めて成功した。 2. STM/STS及びマルチパススキャン法を用いた状態密度の実空間マッピングにより表面第二層の局所電子状態を取得することで、最表面の原子構造と電子状態の起源となる表面第二層の原子構造の決定に取り組んだ。表面第二層の鉄原子が位置する原子サイト間でフェルミ準位直下の状態密度の周期的な空間変調を観測した。この結果は表面第二層の鉄原子が電荷整列することを示しており、この電荷整列が最表面の再構成構造と半導体特性の起源であることを示唆している。 3. 水素吸着による表面第二層の鉄原子の電子状態変化をSTM/STS及びマルチパススキャン法を用いた状態密度の実空間マッピングにより調べた。表面OH基の直下に位置する表面第二層の鉄原子の電子状態が金属特性を示すことがわかった。これらの結果から、水素吸着により生じる水素原子からの電子移動現象が最表面の鉄原子だけでなく表面第二層の鉄原子の電子状態にも大きな変調を与えることが明らかになった。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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