2016 Fiscal Year Annual Research Report
慢性痛の自己治療への準備性に対する動機づけ面接の効果と作用機序に関する研究
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16J00100
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
安達 友紀 滋賀医科大学, 医学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 慢性痛 / セルフ・マネジメント / 準備性 / 動機づけ面接 / 認知行動療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は慢性痛のセルフ・マネジメントへの準備性について尺度開発,理論モデルの構築,介入研究を通じて,そのあり方を解明することである。平成28年度は慢性痛のセルフ・マネジメントへの準備性を測定する質問票であるPSOCQおよびMPRCQ2の日本語版を作成し,その信頼性と妥当性を検証することであった。 PSOCQは患者の痛みのセルフ・マネジメントへの準備性を,行動変容の段階理論に基づいて測定する質問票である。オリジナル版では,前熟慮・熟慮・行動・維持の4因子が抽出されている。受入研究機関を含む5つの医療機関において,3か月以上痛みを有する外来患者を対象に質問票によるデータ収集を実施した。目標症例数210例に対し183例のデータ取得を終えた。平成29年6月末にデータ収集を完了し,解析に着手予定である。PSOCQの開発により,本邦の慢性痛患者における痛みのセルフ・マネジメントへの準備性を測定するツールが初めて使用可能になる。またPSOCQが行動変容の段階理論に基づいているという特性から,本邦の慢性痛患者を痛みのセルフ・マネジメントの観点から分類し,痛みの程度や生活の支障度といったアウトカムに差異が見られるかも検討可能になる。 MPRCQ2は痛みのセルフ・マネジメントへの準備性を,段階理論ではなくスペクトラムとして捉え折々に増減するものという考えに立脚した尺度である。すでに日本語訳と原著者による逆翻訳版の確認を終えており,5~8名程度の慢性痛患者にMPRCQ2への回答を求めて各項目が理解可能かを確認する認知的インタビューを実施した後,平成29年10月より本調査を開始する予定である。MPRCQ2の開発により,運動やリラクセイション等の痛みに対する特定の認知行動的対処にフォーカスして,準備性の理論モデルの構築や,介入による変化の検討が可能になる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度は当初計画では2つの質問票の信頼性・妥当性検証を行う予定であったが,データ収集機関の選定や受入研究機関における倫理審査の進捗で遅れを生じ,PSOCQのデータ収集のみ実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度はMPRCQ2の信頼性・妥当性の検証のためにデータ収集を行う。平成28年度のたPSOCQ取得時のデータおよびMPRCQ2取得時のデータについて二次解析も計画している。理論モデルの構築のための横断研究にMPRCQ2が必要なため,平成30年度に実施が遅れる予定である。平成30年度に米国University of Washingtonへ渡航予定のため,慢性痛に対する集学的介入の研究デザインとマニュアルのリファインを渡航先において継続する。
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