2017 Fiscal Year Annual Research Report
単一細胞におけるオーキシン・サイトカイニン応答による並層分裂の制御機構の解析
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16J00131
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
豊倉 浩一 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(SPD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 植物形態形成 / 細胞分裂 / サイトカイニン |
Outline of Annual Research Achievements |
植物は細胞壁を持つため、細胞が自由に動くことが出来ない。そのため、それぞれの細胞がどの方向に分裂するかが最終的な器官や個体の形態を決定している。しかしながら、植物細胞の分裂方向がどのようにして決まっているか全くわかっていない。そこで、植物ホルモンによる細胞分裂方向制御に注目し、そのシグナル伝達の下流でどのように細胞分裂方向が制御されているのかを解析した。 シロイヌナズナの根では細胞分裂は根端部のメリステムと呼ばれる領域で観察されるが、その多くは器官伸長方向に対して垂直な細胞分裂面を形成する垂層分裂であり、器官慎重方向に対して平行な細胞分裂面を形成する並層分裂は低頻度でしか観察されない。並層分裂は植物ホルモンの一つであるサイトカイニンにより時空間的に制御されており、それにより根の断面方向の細胞の秩序だった並びが保たれている。サイトカイニンシグナルの下流で並層分裂を促進する転写因子を同定していた。この転写因子のさらなる下流で並層分裂を制御する因子を網羅的に同定するために、この転写因子を過剰発現する形質転換植物の並層分裂が促進される表現型が抑圧される変異体のスクリーニングをおこなった。合計10系統の並層分裂が減少する変異体を単離し、ゲノムシークエンスにより原因遺伝子の同定をした。2系統は、植物ホルモンの一つオーキシンの生合成の酵素をコードする遺伝子に変異を持っていたことからオーキシンシグナルが並層分列に必要であることが示唆された。別の1系統は、低分子Gタンパク質ROPの制御に関わる遺伝子に変異を生じていたことから、ROPタンパク質が分裂方向の制御に関わることが示唆された。その他の7系統は翻訳やmRNAの代謝等に関わる遺伝子に変異を生じていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
低分子Gタンパク質ROPは、動物や菌類において非対称分裂や出芽の方向制御に関わることが知られているCdc42/Rho/Racの植物相同遺伝子であり、植物においては根毛や花粉管の先端成長等に関わることが報告されているが、細胞分裂との関係は知られていない。根の維管束において並層分裂がより観察される師部で高発現するROP、および、ROPの制御因子を探索し、その発現パターンおよび細胞内局在を解析した。また、アミノ酸置換により恒常活性化型にしたROPを異所的に発現すると並層分裂が促進された。これらのことから、ROPが細胞分裂方向の制御因子であることが強く示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
IR-LEGOを用いた一細胞で遺伝子発現を誘導できる系を用いて、ROPの活性を細胞分裂方向の関係を調べることで、どのようにして植物の細胞分裂の方向が制御されているかを明らかにする。また、植物ホルモンとROPの関係性を調べるため、ROPやその制御因子への植物ホルモンの影響を調べる。
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Research Products
(4 results)