2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16J00178
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上田 仁彦 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | レプリカ対称性の破れ / 軌道の統計力学 / 異常拡散 / 集団遺伝学 / 負性抵抗 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は時系列統計における異常な時系列を捉える手法の開発として軌道のレプリカ対称性の破れの研究を進めた。申請者はこれまで軌道のレプリカ対称性の破れの生じる状況として、noisy Burgers速度場に駆動される粒子とトラップモデルという二つのモデルを見出してきたが、本年度の研究により、対数相関ポテンシャル中の拡散という第三の状況においても軌道のレプリカ対称性の破れが生じることを見出すことができた。対数相関ポテンシャル系は静力学としてランダムエネルギー模型と同様の熱力学を再現するが、各サイトのポテンシャル間に相関が存在し、ランダムエネルギー模型とは異なる極値統計を示すことが知られている。また、対数相関ポテンシャル系の動力学は二つの劣拡散相の間の転移を示すことが知られてきた。本研究ではこれらの劣拡散相において軌道の重なりの分布を調べ、低温相においては重なり分布が非自明な関数形をとることを数値的に示した。即ち、低温相においてはダイナミクスが少数の安定な軌道に局在する(軌道のレプリカ対称性の破れ)。本成果はJ. Stat. Mech.誌から出版予定である[arXiv:1801.03224]。 また、集団遺伝学モデルにおいて負性抵抗が生じる状況の探索を行った。通常は集団遺伝学モデルにおいて淘汰をかけると適応度は時間とともに増大するが、本研究ではある種の時間変動する適応度地形を考えることにより、淘汰を少しでもかけると適応度が減少してしまう状況をラチェットとの類推により発見することができた。これは昨年度発見した進化の負性微分抵抗よりもさらに過激な現象である。引き続き現実的な設定においてこのような現象が見られないか研究を進めている。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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