2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16J00273
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
田村 秀希 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 質感認知 / 材質識別 / 光沢感 / 透明感 / 運動情報 / optic flow |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,高次画像統計量を用いて,ヒト視覚系の質感認知をモデル化することである.本年度は,時間的に変化する特徴量である運動情報に注目して,物体の材質識別のモデル化を進めた.我々は潜在的に時間的特徴量の入力を網膜から受けているため,視覚系の材質識別能力は運動情報を与えることで,よりパフォーマンスが上がるという仮説を立てた.これを物体の材質を識別する二肢強制選択課題の心理物理実験によって検証,静止画と動画それぞれの刺激呈示方法で比較した.結果,自然環境光下にある鏡材質とガラス材質の識別パフォーマンスが上昇した.不自然環境光下にある場合においても,同様の結果だったため,物体表面に映り込む画素情報よりも,その運動情報に材質識別の手がかりがあることが示唆された.次に,運動成分(optic flow)を特徴量としてこの現象をモデル化すると,この結果を説明する運動特徴は,物体の運動方向成分とその逆方向の成分の比率で表されることを明らかにした.また,この現象の裏付けとなる錯視現象を発見した.これは,ガラス材質でできた物体が物理的にある方向に回転しているときに,知覚的には回転方向が逆方向に,ガラス材質が鏡材質に間違えて知覚されるものである.以上の結果は,Vision Sciences Society 2016,European Conference on Visual Perception 2016および日本視覚学会2017冬季大会にて発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高次画像統計量を用いて物体表面にある鏡面反射成分ハイライトの識別が可能であることに加えて,時間的特徴量である運動情報でも材質識別が可能なモデルを構築することができた.そのため,研究は順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は画像特徴量と時間特徴量の両方の視点から,総合的に質感認知のモデル化を進めていく.
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