2016 Fiscal Year Annual Research Report
力検出を用いた近接場光学顕微鏡による有機分子の画像化機構の解明
Project/Area Number |
16J00304
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山西 絢介 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 光誘起力顕微鏡 / ヘテロダイン変調法 / 高感度 / 高分解能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「複雑な分子軌道を有する有機分子に対する近接場光像の画像化機構を解明すること」である。この目的には、従来の光学顕微鏡の理論的な限界を容易に超え、更なる発展が期待される光誘起力顕微鏡が重要であると考えた。しかしながら、光誘起力顕微鏡は「感度不足」「分解能不足」「熱的なアーティファクト」が問題点であると考えられる。これらの問題点を解決することが出来れば、今までの光誘起力顕微鏡で考えられる理論的な限界を超え、光学特性の観測が可能になると考えられる。 そのため、光誘起力顕微鏡の高感度・高分解能、熱的なアーティファクトの除去に関する課題について重点的に研究を推進した。具体的には、試料に光を照射したときに生じる光誘起力と、試料で散乱された光がカンチレバーで吸収されることによって生じる光熱振動を分離・測定する方法について検討した。その結果、ヘテロダイン変調法を用いた新たな測定法を考案し、光熱振動の影響なしに光誘起力を選択的に検出することに世界で初めて成功した。特に、光熱振動の影響を除去できたため、探針と試料表面が離れていても、光誘起力を高感度・高分解能に測定できることを実証した。この結果は、ヘテロダイン変調法を用いた光誘起力顕微鏡が、従来の光誘起力顕微鏡に比べて高感度化が可能であり、極めて革新的な計測技術になる可能性を示唆する重要な成果である。今後この方法をさらに発展させていけば、世界最高峰の観測が可能になると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べた結果は、応用物理学系の国際的なジャーナルであるApplied Physics Letters誌にすでに掲載されている。世界的にも重要な成果を得ており、研究は十分順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
開発したヘテロダイン変調方式による光誘起力顕微鏡を用いて、量子ドットや有機分子の離散準位が作り出す、探針と試料との相互作用を観測し、高分解能での光学特性の可視化を実現する。また、従来の方法で考えられる他の力によるクロストークを分離する方法を提案する。
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