2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16J00339
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
奥田 洸作 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 一酸化窒素 / エピジェネティクス / 炎症 / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は, NOによるDNAメチル化調節の実態解明と, SNO化阻害薬候補の同定に重点を置いて研究を進めた. まず, 胃粘膜上皮がん由来AGS細胞において, NO刺激時間依存的に特定のがん遺伝子プロモーターCpGアイランドの脱メチル化が誘導されることを明らかとした. また, そのがん遺伝子のmRNA発現はNO刺激に応答して一過性に増加する傾向が得られた. 以上より, NOはがん細胞において特定の遺伝子領域のDNAメチル化を減弱させることにより, 遺伝子発現を調節する因子である可能性が示唆された. つぎに, エピゲノム制御酵素のSNO化阻害薬のスクリーニングを行った. その結果, 分子特異的なSNO阻害能を有する候補化合物を得ることに成功した. 我々は先行研究より, タンパク質SNO化を介したエピゲノム制御酵素の機能異常は, 炎症性がんの悪性化を促進する可能性を明らかにしてきた. そこで, がん組織周辺での局所的なNO産生に起因して進展/悪性化することが知られる炎症性がんに対し, 当該化合物が抗がん活性を有するか否か, 細胞系および炎症発がん/悪性化モデルマウスを用いて検討を行った. その結果, 当該化合物は有意性をもって抗がん活性(腫瘍増殖, 転移能の阻害など)を示すことが明らかとなり, 炎症性がんに対する新規治療薬のリード化合物になる可能性が見出された. 本成果に基づいた特許出願(特願2017-05367)は平成29年3月に行われており, 私は発明者には含まれていないが, 主要な実験者として認められている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画ではDC2採用2年目に行う予定であった, 動物(マウス)を用いての検証を行うことができ, かつ炎症発がん/悪性化に対する顕著な抗がん活性を有する新奇化合物を同定することに成功したため.
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Strategy for Future Research Activity |
1. 得られたSNO化阻害薬をリード化合物として, 構造活性相関を解析する. まず, 従来のものよりもSNO化阻害能が高い誘導体を作出し, 抗がん活性との関連性を評価する. また, SNO化阻害能が消失する誘導体も選定し, 当該化合物がエピゲノム制御酵素にどのように作用してSNO化阻害活性を発揮しているかを詳細に検討する.
2. 肺がん, 肝がん, 胃がんなどの慢性炎症に起因する各種発がんモデルを構築し, 当該化合物が普遍的な抗がん活性を示すか否かを, マウスを用いて検討する.
3. 今後, 先行研究により得られているNOによるエピゲノム調節機構や, SNO化阻害薬に関する知見を, エピゲノム異常を伴う神経変性疾患(アルツハイマー病やパーキンソン病など)へ応用をすることを視野に入れて研究を推進していく. そのために神経系の新規実験基盤を構築し, 初期的な知見を蓄積していく.
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Research Products
(3 results)