2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16J00431
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
北嶋 康雄 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 特別研究員(SPD) (70734416)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 骨格筋 / 筋幹細胞 / タンパク分解系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、骨格筋幹細胞特異的プロテアソーム機能不全マウスを用い、骨格筋幹細胞におけるプロテアソームの役割について明らかにすることを目的とする。筋幹細胞特異的にプロテアソーム機能不全を起こすために、筋幹細胞特異的なPax7プロモーター下流にCre組換え酵素を挿入したPax7-CreERT2マウスを用いて筋幹細胞特異的プロテアソーム不全マウス(KOマウス)を作出した。KOマウスからFACS(Fluorescence Activated Cell Sorting)を使って、幹細胞を単離し、qPCRにより目的遺伝子が有意に発現低下していたことから、系がうまくいっていることを確認した。また、これらの細胞を用いてプロテアソーム活性を評価したところ、KOマウス由来の筋幹細胞において有意に活性低下を示した。この系統マウスの休止期の筋幹細胞のトランスクリプトーム解析を行ったところ、細胞周期、プロテアソーム関連、老化関連の遺伝子発現が大きく変動していた。この遺伝子発現データは本研究課題の基盤的データになると考える。細胞増殖能をEdU取り込みで評価したところ、KO由来の筋幹細胞では細胞増殖が有意に抑制されており、これはqPCRでの細胞増殖に関わる遺伝子発現の低下とも一致していた。これらは、トランスクリプトーム解析での細胞周期のデータとも一致していた。今後、筋幹細胞の活性化後にノックアウトを誘導した幹細胞サンプルでのトランスクリプトーム解析も計画している。筋幹細胞の休止期にノックアウトを誘導したときと、活性化後にノックアウトを誘導したときの遺伝子発現パターンが異なっていた。これはタンパク分解系が幹細胞の休止期と活性化後で働きが異なることを示唆している。次年度以降はこの点にも注目して解析を進めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝子発現や活性の解析により幹細胞特異的にタンパク分解系不全を起こしていることが確認できた。また、網羅的データや細胞増殖のデータなどもほぼ計画どおりに行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画どおり進んでいるため、引き続き進めていきたい。また、研究を進めていく上で、新たにタンパク分解系が幹細胞の休止期と活性化後で働きが異なることがわかってきた。次年度以降は当初の研究計画に加えて、この点にも注目して解析を進める。
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