2016 Fiscal Year Annual Research Report
サブポルフィリンをビルディングブロックとした新規機能性分子の開発
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16J00432
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉田 康太 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | ピロール置換サブポルフィリン / サブポルフィリン / 蛍光 / 環電流効果 / ストークスシフト |
Outline of Annual Research Achievements |
・サブポルフィリンを出発物として様々な合成ルートの検討を行ったが、ジチエニルエテン部位を組み込んだサブポルフィリンの合成は達成できなかった。 ・しかしながら、その際に使用した合成中間体を用いて、サブポルフィリンの共役系を保持したままその骨格に含まれるピロール環の1つを別の構成要素に変換したサブポルフィリン類縁体である、ピロール置換サブポルフィリンの合成を達成した。 ・サブポルフィリンを出発物としたピロール置換サブポルフィリンの合成は世界初であり、合成法を確立したことで導入される構成要素は様々なものが可能になる。今回は、5種類のピロール置換サブポルフィリンの合成を達成した(アルジミン部位を有するサブクロロフィン、アルジミン部位にカルボキシル基を有するサブセコクロリンジカルボン酸、ラクタム環を有するサブポルフォラクタム、ラクトン環を有するサブポルフォラクトン、イミダゾール環を有するイミダゾロサブポルフィリン)。 ・ピロール置換サブポルフィリンは、構成要素に応じて光学特性および芳香族性が大きく変化することがわかった。例えば、サブクロロフィンは、サブポルフィリンと比較して、(1)吸収スペクトルにおいて短波長側により小さなモル吸光係数のSoret帯を、長波長側により大きなモル吸光係数のQ帯を有する、(2)約2.5倍の蛍光量子収率を示す、(3)より小さな環電流効果を示す、といった性質が見られた。一方で、イミダゾロサブポルフィリンは、サブポルフィリンと比較して、似た吸収および蛍光スペクトルの形状、同じ蛍光量子収率を示したが、全体的に長波長シフトしている様子が、また蛍光スペクトルのストークスシフトの増大が観測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた化合物の合成を達成することはできなかったが、「ピロール置換サブポルフィリンの化学」という新たな領域を切り拓くことができた。これは、これまでサブポルフィリンでは達成できなかったことを実現できる可能性を含んでおり、本研究課題である「サブポルフィリンをビルディングブロックとした新規機能性分子の開発」を解決しうるため、大変意義深いから。
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Strategy for Future Research Activity |
・新規な構成要素を含むピロール置換サブポルフィリンを合成し、物性評価を行うことで構成要素に応じた物性の変化を系統的にまとめる。 ・構成要素の反応性を利用して、これまでサブポルフィリンでは達成されていなかった機能性の付与に取り組む。 ・当初計画していたもう1つの化合物である4H-ベンゾチアジンを組み込んだサブポルフィリンの合成し、酸化還元によるゲスト包接能のスイッチングに挑戦する。
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Research Products
(5 results)