2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16J00559
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
花川 奨 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 樹状細胞 / IL-10 / XCR1 / Csf2ra |
Outline of Annual Research Achievements |
IL-10欠損マウスにおいて、XCR1陽性樹状細胞のCD103発現が減弱していることから、IL-10はXCR1陽性樹状細胞の機能に対して生理的な役割を果たしていることが示唆された。XCR1陽性樹状細胞はクロスプレゼンテーションによりCD8陽性T細胞の免疫応答を賦活化するが、CD103発現の減弱したIL-10KO由来XCR1陽性樹状細胞は、in vitroの系において抗原特異的なCD8陽性T細胞の抗原ペプチド存在下での増殖やサイトカイン産生の誘導能が低下していた。また、定常状態においてIL-10欠損マウスのリンパ節を解析した結果、CD8陽性メモリーT細胞の数的減少とTCR刺激によるサイトカイン産生量の低下を認めた。すなわち、IL-10はCD8陽性T細胞の制御に関与するXCR1陽性樹状細胞を機能的に制御している可能性を見出した。 IL-10がXCR1陽性樹状細胞の機能獲得に寄与する場として二次リンパ組織の関与を見出すために、リンパ節とパイエル板を欠損する aly/aly マウス (alymphoplasia: リンパ形成不全)の脾臓を摘出し、二次リンパ組織を有さないマウスを解析した結果、XCR1陽性樹状細胞およびCD11b陽性樹状細胞の分化に二次リンパ組織は必要ないことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既にIL-10がXCR1陽性樹状細胞の免疫学的な機能へ及ぼす影響と、関与しうる組織の同定について成果を上げた他、IL-10のシグナル経路に関しても新規知見を得ることが出来た。IL-10欠損マウスのXCR1陽性樹状細胞を分離し、遺伝的解析を行った結果、GM-CSF(Granulocyte Macrophage colony-stimulating Factor, CSF2)の受容体であるCsf2 receptor alphaの発現が減少していることを見出した。一方で、CSF2、受容体ヘテロダイマーの相方であるcommon Beta chainに異常は見られなかった。また、CSF2はin vitroにおいてXCR1陽性樹状細胞の免疫賦活機能を状況することが文献的に知られているが、IL-10欠損マウスにおいてはCSF2依存的な活性化は誘導できなかった。こちらに関しては、IL-10リコンビナントタンパクの添加やcommon Beta chainを介し、Csf2 receptor alphaを介さないシグナル経路などでXCR1陽性樹状細胞の活性化を回復できるか解析を進めている。 また、IL-10が樹状細胞へ直接的に作用しているか検証するために、Crispr/Cas9を用いたゲノム編集技術によりIL-10受容体欠損マウスを新たに作製し、その解析を順次行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた実験結果より、非免疫下においてIL-10は樹状細胞の機能調節に作用することを見出しており、本研究課題では引き続き、IL-10欠損によるXCR1陽性樹状細胞の質的異常について新規に作製したIL-10受容体欠損マウスも用いてより詳細な検討を行っていく。特に、Crispr/Cas9により新規に作製したIL-10受容体欠損マウスにおいて、IL-10欠損マウスで見られたCSF2シグナルの異常や、IL-10の樹状細胞への直接的な作用を検証していくとともに、XCR1陽性樹状細胞の機能獲得に関与する免疫臓器や細胞に関しても解析を進めていく。
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