2016 Fiscal Year Annual Research Report
銅錯体の付加反応を鍵とするフルオロアルケンの変換反応
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16J00573
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阪口 博信 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | フルオロアルケン / 炭素-フッ素結合活性化 / ケイ素化 / ホウ素化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、銅錯体の付加反応を鍵過程とするポリフルオロアルケン類の変換反応において、フッ素化学産業の基幹原料であるポリフルオロアルケン類から有用な含フッ素化合物を合成することのできる手法の開発を目的としている。これまでパラジウム触媒もしくは銅錯体を用いたテトラフルオロエチレンのアリール化反応の開発に取り組んできた。 本年度は、銅触媒を用いたポリフルオロアルケン類とシリルボランとの脱フッ素ケイ素化反応の開発を行った。さらに、反応剤としてシリルボランにかえてジボロンを用いることでフルオロアルケン類の脱フッ素ホウ素化反応の開発も行った。今回開発した反応は、テトラフルオロエチレンのみならず多様なポリフルオロアルケンに適用することができる。生成物であるフルオロビニルシランはフッ素官能基化剤としての利用も可能であり、ポリフルオロアルケンから複雑な骨格を有する含フッ素化合物へと短段階できるため、本反応の有用性は非常に高い。また、銅触媒を用いたフルオロアルケン類の炭素-フッ素結合の切断を伴うケイ素化反応はこれまでに達成されたことがなく、本研究が初となる。またケイ素化反応の知見をもとに反応剤としてジボロンを用いることでポリフルオロアルケン類の脱フッ素ホウ素化反応の開発も達成した。さらに錯体化学的な手法を駆使して、これら2つの反応の反応機構を明らかにした。 現在、これらの研究成果をもとに学術雑誌への投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度、銅触媒を用いたポリフルオロアルケン類の脱フッ素ケイ素化反応の開発に成功した。さらに、脱フッ素ホウ素化反応への展開も達成した。これらは、フッ素化学産業の基幹原料であるポリフルオロアルケン類の高付加価値化を達成する手法のさらなる開発に繋がると期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究において開発した銅触媒を用いたポリフルオロアルケン類の脱フッ素ケイ素化反応および脱フッ素ホウ素化反応の論文投稿を行う。また今回得られた知見をもとに、さらなるポリフルオロアルケン類の脱フッ素官能基化反応の開発に取り組む。
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