2016 Fiscal Year Annual Research Report
H5N1鳥インフルエンザウイルスのヒト適応に関与する新規変異同定と分子機構の解明
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16J00589
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荒井 泰葉 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 鳥インフルエンザウイルス / 人獣共通感染症 / H5N1ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
H5N1亜型高病原性鳥インフルエンザウイルスは、トリ-ヒト間伝播によって致死率が約60%と極めて高い重篤な呼吸器疾患を引き起こすことから、公衆衛生上の重大な懸案事項となっている。なかでも、エジプトは、2008年以降全世界の約67%のヒト感染事例が報告されている特異な国であり、当該地域からH5N1由来パンデミックウイルスが出現する高い潜在性が指摘されている。また、H5N1エジプト流行株は、これまでに報告されている代表的なヒト適応性変異の幾つかを既に獲得しており、他地域のH5N1ウイルスに比べて、ヒト適応化が進んでいると考えられている。本研究では、エジプトのH5N1ウイルス感染患者において特異的に検出されたウイルスポリメラーゼ領域の変異に着目することで、エジプトで流行するH5N1ウイルスのヒト適応化を評価すると共に、関連するヒト適応変異を同定することを目的とした。 先行研究により、H5N1ウイルスの新規ヒト適応性変異を複数選定し、変異がポリメラーゼ活性とヒト呼吸器上皮細胞におけるウイルス複製能に与える効果を評価済みである。本課題においては これらの研究を発展させることによりその目的達成を図った。具体的には、変異がヒト適応化に与える影響をマウス感染実験により詳細に解析するとともに、構造解析により変異によるヒト適応化機構の解明を試みた。 これらの解析により、変異がin vivoでの病原性・複製性を有意に高めることを明らかにした。また、特に顕著な効果を示す変異は、vRNAプロモーターを取り囲むPB1領域に位置しており、両者間の相互作用を変化させることで複製開始過程に影響すると推察された。 これらの変異はこれまでに報告のない新規のヒト適応性変異であり、鳥インフルエンザウイルスのヒト適応化機構において新規のメカニズムを提起するものであった。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Novel Polymerase Gene Mutations for Human Adaptation in Clinical Isolates of Avian H5N1 Influenza Viruses2016
Author(s)
Yasuha Arai, Norihito Kawashita, Tomo Daidoji, Madiha S. Ibrahim, Emad M. El-Gendy, Tatsuya Takagi, Kazuo Takahashi, Yasuo Suzuki, Kazuyoshi Ikuta, Takaaki Nakaya, Tatsuo Shioda, Yohei Watanabe.
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Journal Title
PLoS Pathog
Volume: 2016 Apr 20;12(4)
Pages: e1005583
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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