2018 Fiscal Year Annual Research Report
コヒーレント二次元電子分光による強い相互作用系の量子コヒーレンス効果の解明と制御
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16J00627
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
米田 勇祐 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 励起エネルギー移動 / 超高速分光 / 光合成反応 / 光捕集系 / 電子移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、強い相互作用系における振動コヒーレンスの効果を検証するため電子供与性溶媒中の色素系における超高速電子移動に関する研究および光化学系II(PSII)のエネルギー移動経路ついての研究を行った。 電子供与性溶媒中の色素系に関する研究では、前年度までに電子受容性色素としてbis-phenylethynylnaphtacene、電子供与性溶媒として5つの種々のアニリン誘導体を用いて、系統的に広帯域ポンププローブ測定を行ない、低波数振動モードの位相緩和時間が、電子移動速度が速くなるにつれて短くなっていくことを明らかにしていた。今年度は追加実験、より詳細な解析を行い、高波数の振動モードにおいてもいくつかの振動モードの位相緩和時間は電子移動速度と相関があることを明らかにした。また、位相緩和と電子移動速度に相関が見られた振動モードは、反応状態と生成状態のHuang-Rhys factorが大きいものであることが明らかとなった。 PSIIに関する研究では、その複雑なエネルギー移動経路を明らかにし、光合成初期過程におけるコヒーレンスの効果を検証することを目的に研究を行なっている。PSIIは35個のクロロフィル分子を持ち、それらの吸収・発光スペクトルはほとんど重なっており、特定の結合位置のクロロフィルのダイナミクスを選択的に励起・観測することは困難である。一方でPSIIに含まれるβカロテンの数は11個と少ないため、特定のβカロテンを選択励起したダイナミクスを観測することによって、PSIIの複雑なエネルギー移動経路を解明できる可能性がある。白色光型フェムト秒過渡吸収測定の励起波長依存性から、510nmの励起光を用いた場合、反応中心に隣接するBcr651と呼ばれるβカロテンを選択励起することに成功し、そのエネルギー移動経路に関する知見を得ることができた。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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