2016 Fiscal Year Annual Research Report
巨大地震後の流体に起因する長野県北部およびその他地域における地震活動
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16J00635
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
下條 賢梧 筑波大学, 生命環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 2011年長野県北部の地震 / 前震 / 表面波 / 誘発地震 / MFT / 熊本地震 / 目視観察 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度中には、2011年長野県北部の地震(Mw 6.2)の前震活動の震源決定を行い、それに基づいて得られた地震カタログをもとに地震活動発生のメカニズムを考察し、その成果を国内2つの学会にて報告した。また、平成28年4月に発生した熊本地震の表面波伝播により日本国内で誘発された遠方での地震活動の解析を行い、共著としてその成果を論文に発表した。
1.長野県北部の地震の前震活動についての研究では、前震活動がほとんど存在しなかったと従来考えられてきたMw 6.2 の地震の震源近傍の断層面付近と、それとは別に東に5km離れた断層外の領域において、東北沖地震発生からMw 6.2の地震発生までの間に200以上の小地震活動をMFTを用いて見出した。また、東北沖地震の余震活動に伴う表面波の到達後に研究対象地域で誘発されている小地震活動の有無を統計的解析により見出した。 2.熊本地震により誘発された地震活動についての研究では、日本全国のHi-net,気象庁,F-net, V-netの地震観測網観測点 (1000以上)データを用いて、2011年4月16日に発生した熊本地震(Mjma 7.3)により励起された表面波通過中あるいは直後に日本全国各地で発生した地震活動を波形の目視観察により見出し、その結果は学術誌Earth, Planets and Spaceに論文として7月に投稿、10月に公表され、私はその中での主な解析および作図を担当した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定としては、2011年長野県北部の地震の前震活動についての研究に注力し、解析を全て終わらせた上で平成28年度中に論文を投稿する計画であった。現在のところ、解析は概ね終わらせることができたものの、論文については執筆中の段階である。原因としては、解析において目視での波形の確認を逐一行なっていたことに加え、昨年の5-7月にかけて2016年熊本地震に関する論文の投稿作業を追加したこともあげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定では、平成29年度初めより長野県北部地域以外の熱水が卓越するような地熱地域における詳細な動的誘発地震およびその後の誘発地震活動を、Hi-net観測網を用いて検出し、地熱情報との関係性を明らかにする計画であったが、進捗状況の項で述べたように、平成28年度の研究が完遂していない。そこで平成29年度は年度始めより論文執筆を優先し、上半期中をめどに執筆を完了・投稿したいと考えている。そして下半期には日本地震学会及びAGUの講演において成果を発表する予定である。
一方、平成28年度では熊本地震の表面波による誘発地震についての研究において、誘発された地震が中部から北海道の火山地域に分布していることがわかった。そこで、当初の今年度の計画を実行するという意味でも、下半期はこれらの誘発地震の発生地域と地熱情報との関係を評価したいと考えている。
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Research Products
(3 results)