2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16J00685
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
本木 慎吾 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 熱輸送 / 変分法 / 平行平板間クエット流 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,運動量と熱の輸送間の非相似性を最大化する最適状態を数値計算によって求める研究を中心に行い,その成果を国内外の学会で発表するとともに,論文としてまとめた. これまでの主な成果としては,2枚の板が一定の温度差に保たれた平行平板間クエット流における非圧縮かつ定常な速度場を対象に,壁面熱流束とエネルギー散逸(壁面摩擦に対応する)の差を目的汎関数とし,境界条件(滑りなし非貫通壁+壁面に平行な方向に周期的),連続の式,及び温度についての移流拡散方程式の制約の下で,その最大値をもたらす速度場を数値的に探索することによって,運動量と熱の輸送間の相似性を崩し,非相似性を最大化させる最適な速度場を求めることに成功したことが挙げられる.この研究により得られた特に重要な知見は以下の3つである. ・乱流よりも顕著に高い熱輸送を実現しながらもより低いエネルギー散逸を示す最適な速度場が3次元平行平板間クエット流において存在することを示した. ・アンチサイクロン(平均流渦度と反対符号のスパン方向渦度をもつようにスパン方向に傾く縦渦)が伝熱を大きく促進させ得ることを見出した. ・3次元の階層的な自己相似渦構造が熱輸送最大化において重要な役割を担うことを示した. この成果をまとめた論文を、Journal of Fluid Mechanics誌に「Optimal heat transfer enhancement in plane Couette flow」という題目で投稿しており、現在査読中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究一年目である本年度は,運動量と熱の輸送間の非相似性を最大化する最適状態に関する研究を進展させ,論文として発表することを主眼とした.大阪で行われた第53回日本伝熱シンポジウムでは口頭発表を行うとともに,全国から集った熱流体分野の研究者らと議論を行い,また,スペイン,セビリアで行われたEuropean Fluid Mechanics Conference 11における口頭発表や、その他多くの学会,研究会への参加を通して,国内外の多数の研究者と議論し,研究成果を広く外部に発信することができた.そしてその研究活動の成果を,流体力学分野の国際学術雑誌であるJournal of Fluid Mechanics誌に論文を投稿することができた.さらに,当初計画していた剪断流だけでなく,同様の計算手法を用いることで,平均剪断流を伴わない場合にも熱輸送を最大化する最適状態が得られてきており,今後,自然対流における最大熱輸送の議論への展開が見込まれる.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り,これまでに得られた非相似性を最大化する最適状態に関する知見から,能動的フィードバック制御などの複雑な制御を用いることなく伝熱を容易かつ効率的に促進する流体制御手法を考案することを目標に研究活動に取り組んでいく.また,平均剪断流を伴わない自然対流においても,本研究課題において開発した計算手法を用いることで,最適な熱輸送をもたらす速度場が得られることが分かってきており,研究をさらに進展させ,論文として発表したいと考えている.また,平成29年7月にアメリカ,シカゴで開催されるTurbulence and Shear Flow Phenomena 10とウッドランドで開催されるBifurcations and Instabilities in Fluid Dynamics 2017での口頭発表が既に受理されており,次年度も幅広い研究活動を推進していく.
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Research Products
(7 results)