2018 Fiscal Year Annual Research Report
独裁体制時代の政治的競争性の高さが、民主化後のもと独裁政党の存続に及ぼす影響
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16J00792
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
豊田 紳 慶應義塾大学, 法学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 独裁体制研究 / 制度研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度の研究成果としては、①日本選挙学会の学会誌『選挙研究』での論文発表および②日本政治学会年次大会における学会報告および③博士学位論文の提出および博士学位号授与が挙げられる。①の研究は、独裁国家においては、選挙結果を通じた体制内エリートのパフォーマンスの測定が行われているために、体制内エリートは独裁者の目を欺くために選挙を不正に行うことがあり(ゲーミングとしての選挙不正)、このゲーミングとしての選挙不正を抑止するのは独立した野党による選挙参加であることをメキシコの事例を通じて論じたものである。この発見は、独裁者には体制内エリートのパフォーマンスを選挙によって測定するためには、野党勢力を必要とするという逆説が存在することを示唆する。 ②の学会報告は、独裁者はなぜ選挙不正を伴うにもかかわらず競争選挙を実施するのかという問いに対し、競争選挙を行わない一党独裁体制においては、独裁者は大衆に蓄積された不満を知るために地方暴動をはじめとした集合行動を利用せざるを得ないが、選挙権威主義体制の選挙不正を伴う競争選挙という制度は、地方暴動等の集合行動を通じた大衆の不満の測定を代替すると論じ、メキシコの事例を通じてこの議論がすくなくとも経験的事実と矛盾しないことをデモンストレートした。 これらの知見を踏まえて、現在、当初の研究計画を変更し、新たなデータセットの作成に取り掛かっている。具体的には、独裁政党時代に確固たる政党システムが存在した上で民主化した場合には、支配政党はその勢力を維持できるが、野党が存在しなかったり、名目上は野党が存在しても政党システムが制度化されていなかった場合には、民主化後の支配政党は分裂を重ねることで、勢力を維持できなくなるという仮説を考案し、計量的に検証したい。今年度および来年度中には一定の結果を出す予定である。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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