• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2016 Fiscal Year Annual Research Report

脂肪性肝炎の発症機序の解明に向けた肝臓、腸管、脂肪の臓器連関からのアプローチ

Research Project

Project/Area Number 16J00793
Research InstitutionUniversity of Tsukuba

Principal Investigator

秋山 健太郎  筑波大学, 人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2016-04-22 – 2018-03-31
KeywordsNASH / p62 / Nrf2
Outline of Annual Research Achievements

近年,食生活の欧米化と慢性的運動不足によってわが国の肥満人口は増加しており,これに関連して顕著な増加を示しているが非アルコール性脂肪性肝炎(non-alcoholic steatohepatitis; NASH)である.しかし,その詳細な発症機構は未だ明らかになっていない.その背景には,適切なNASH動物モデルの欠如があげられる.従来のモデルマウスは,ヒトNASHと全身状態と病態の進展速度が異なっており,ヒトとは乖離している.これに対し,当研究室の作製したp62およびNrf2遺伝子の二重欠損(double knockout ; DKO)マウスは,通常食飼育下において加齢とともに著名な体重増加が見られ,NASH病態がゆっくりと進展した.これまでの研究から,DKOマウスのNASH発症には肝臓と腸管,脂肪組織が関わっており,その中心にはLPSの関与が疑われた.DKOマウスは全身で両遺伝子が欠損しているため,NASH発症に重要な組織・細胞の特定が困難である.そのため,本研究ではDKOマウスの任意の組織・細胞において各遺伝子をレスキューしたマウスを作製した.本レスキューマウスを用いることで,各種臓器での両遺伝子の関わりを深く探ることができ,NASH発症機序の理解にこれまでにない知見を得ることができる.平成28年度は,組織特異的p62, Nrf2遺伝子ノックインマウスの作製を行った.先立って作製したキメラマウスのうち,キメラ率の高い雄を野生型C57BL/6雌と交配しF1ヘテロマウスを得た.遺伝子型の判定は,尾端組織DNAを用いたPCR産物のパターンを解析して行った.ここで得られる遺伝子改変マウス(p62KI/KIおよびNrf2KI/KI)は,第2イントロンで転写がストップするため,全身でp62あるいはNrf2の発現が欠損する.これらのマウスを,既に作製済のp62-/-,Nrf2-/-,あるいは互いに交配して,p62KI/KI:Nrf2-/-,p62-/-:Nrf2KI/KI,p62KI/KI:Nrf2KI/KIマウスを得た.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

マウスの繁殖に時間がかかっているが、おおむね順調に進行している。
その対処法として、繁殖ケージを増やして繁殖している。現在、匹数は増えてきており、レスキューできているマウスから実験を行う予定である。
また上記に並行して,腸管上皮細胞とKupffer細胞(マクロファージ)に注目し,in vitroの解析を行った.CRISPR-Cas9システムを用い,各遺伝子を欠損したCaco-2(腸管上皮細胞),Raw264.7(マクロファージ)細胞を作成した.Caco-2ではバリア機能を,Raw264.7ではLPSによる炎症反応を評価し,NASH発症機序における各遺伝子の機能を検討した.Nrf2欠損Caco-2細胞では,タイトジャンクションタンパク質の発現が低下しており,バリア機能の低下が見られた.Raw264.7細胞のLPSによる炎症反応は,低容量LPS添加時ではNrf2-KO,DKOマウスで野生型に比べNF-κBの活性化およびTNF-α,IL-1βのmRNAレベルの増悪がみられた.高容量LPS添加時は野生型に比べp62欠損により炎症反応が増悪し,Nrf2-KO,DKOマウスではさらに著しい増悪がみられた.

Strategy for Future Research Activity

各種レスキューマウスとDKOマウスの肝臓の病理を比較し,改善がみられたレスキューマウスについて以下の解析を行う。また,1年目で終えられなかった研究項目について引き続き解析を行う.DKOマウスのNASH発症機序において,腸管上皮細胞とKupffer細胞(マクロファージ)が重要であることが示唆された.そこで,現在は「腸管上皮特異的レスキューマウス」と「Kupffer細胞特異的レスキューマウス」の解析を中心に行う予定である.腸管上皮特異的レスキューマウスに関しては,腸管と肝臓の病理解析,腸管透過性試験,腸管の炎症性サイトカイン発現レベルの解析,血液中のLPS含有量の測定を行う.Kupffer細胞特異的レスキューマウスに関しては,肝臓の病理解析,Kupffer細胞の貪食能の解析,LPS応答の解析を行う.
NASH発症機序に重要な組織を追求するために,DKOマウスの任意の組織・細胞において各遺伝子をレスキューしたマウスを作製し,DKOマウスと形質を比較し,その組織・細胞とNASH発症との関係を明らかにする.一連の研究結果を踏まえて,分子学的機構を解明することにより,どの臓器でどの遺伝子がNASH発症に深く関わっているかを明確にすることができる.

  • Research Products

    (2 results)

All 2016

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] p62:Nrf2遺伝子二重欠損マウスの肝蔵,内臓脂肪,腸内環境の解析よりみた NASH発症機序の解明2016

    • Author(s)
      秋山健太郎,蕨栄治,正田純一
    • Organizer
      第41回日本肝臓学会東部会
    • Place of Presentation
      京王プラザホテル、東京都、新宿区
    • Year and Date
      2016-12-08 – 2016-12-09
  • [Presentation] 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)自然発症マウスにおける Kupffer 細胞の表現形質 の変化と発症機序との関連性2016

    • Author(s)
      秋山健太郎,蕨栄治,正田純一
    • Organizer
      第102回日本消化器病学会総会
    • Place of Presentation
      京王プラザホテル、東京都、新宿区
    • Year and Date
      2016-04-21 – 2016-04-23

URL: 

Published: 2018-01-16  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi