2016 Fiscal Year Annual Research Report
sp2ケイ素のボトムアップ技術によるヘキサシラベンゼンの合成
Project/Area Number |
16J01036
|
Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
早川 直輝 近畿大学, 総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
|
Keywords | ヘキサシラベンゼン / sp2ケイ素 / 不飽和結合 / 芳香族性 / sp2ゲルマニウム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、sp2ケイ素のボトムアップ技術を開拓することによって、未だ合成が達成されていない夢化合物である「ヘキサシラベンゼン」を安定な化合物として合成・単離する。合成したヘキサシラベンゼンは、分子構造や電子状態について実験化学および理論化学によって調査し、結合電子に由来する特異な物性や芳香族性の有無、その反応性について探究することを目的とする。 平成28年度は、かさ高さを精密に調節した立体保護基として「xH2Mind基」を有機合成手法によって新たに開発した。xH2Mind基にケイ素試薬を作用させることで、xH2Mind基を有するトリクロロシランやトリヒドロシランを合成・単離した。続いて、合成したトリヒドロシランを脱水素化カップリング反応させることにより、ケイ素原子が2つ連結したジシランを合成した。ジシランは、「ヘキサシラベンゼン」の前駆体だと考えられる。 また、ケイ素原子だけでなく、sp2ゲルマニウムの化学についても着手した。sp2ゲルマニウム化合物の最小単位である「ジアリールゲルミレン」に対してジクロロゲルミレン・ジオキサン錯体を作用させることで、sp2ゲルマニウムが2つ連結した「ジハロジゲルメン」へとsp2ゲルマニウムが拡張した合成法を見出した。さらに、このジハロジゲルメンの溶液中での挙動や反応性についても調査し、ゲルマニウムに対して、臭素とアルカリ金属が付加した「ゲルミレノイド」とゲルミレンとの平衡や化ゲルミレノイドの単離について調査した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
かさ高さを精密に調節した、かさ高さが中程度のRind基である「xH2Mind基」を有機合成化学の手法に基づき合成・単離した。続いて、合成したxH2Mind基にケイ素原子を導入した。その後、ケイ素原子が連結したジシランを合成した。ジシランは、ヘキサシラベンゼンの前駆体である。 また、sp2ゲルマニウム化合物の最小単位である「ゲルミレン」が、sp2ゲルマニウムが2つ連結した「ジゲルメン」へと拡張する合成法を見出した。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、ジシランと様々な還元剤を反応させることで、還元縮合反応によるヘキサシラベンゼンの合成、単離を目指す。また、sp2ゲルマニウムが連結したジハロジゲルメンの還元縮合反応について調査し、sp2ゲルマニウムのさらなる拡張についても検討する計画である。
|