2017 Fiscal Year Annual Research Report
魚類グランザイムによる細胞傷害機構解明とそれに基づく水産用ワクチン評価法の開発
Project/Area Number |
16J01101
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
松浦 雄太 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 増養殖研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | セリンプロテアーゼ / 細胞傷害 / 貪食細胞 / 細胞性免疫 / ギンブナ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、昨年度の研究成果により見出した細胞傷害に関わるグランザイム様酵素のさらなる機能解析を行った。本酵素の組織分布を調べるため、本酵素に対するモノクローナル抗体を作製し、凍結組織切片を用いた蛍光免疫染色を行なった。その結果、腎臓にて造血された貪食細胞が本酵素の産生源となり、鰓や皮膚など外界に接する組織に移動していることが示唆された。次に、本酵素の発現制御機構を調べるため、トール様受容体(TLR)リガンドによる刺激実験を行い、本酵素の発現を制御するTLR経路を調べた。その結果、TLR2,3,4それぞれに対するリガンドによりその発現が増強されることが判明した。よって、本酵素は外界から侵入した抗原や病原体に対する免疫応答に関わっていることが推測され、ワクチンによる免疫賦活効果を確認する指標として利用可能と考えられた。 次に、国内養殖業における重要魚種において本酵素を指標とした水産用ワクチン評価法を開発するため、これら魚種における本酵素のホモログ遺伝子探索を試みた。しかし、ブリ、カンパチ、マダイ、ヒラメのESTデータベースを用いた相同性検索並びに系統樹解析の結果、これら魚種においてホモログ遺伝子は存在しなかった。また、酵素活性測定実験を行った結果、本酵素活性はコイ科魚類以外の魚種では検出されなかった。よって、本酵素はコイ科魚類に特有の酵素であることが示唆され、コイ科魚類以外の魚種では本酵素活性を指標とした細胞性免疫機能測定法の実施が困難であることが判明した。今後はコイ科魚類以外の魚種にも存在する細胞傷害関連分子を探索し、それを指標とした手法の検討が必要である。 本研究により見出したコイ科魚類特有の酵素はこれまで未報告であり学術的に興味深い。今後、本酵素による免疫機構(細胞傷害機構)が解明されれば、進化の過程でコイ科魚類が独自に産み出した生体防御機構を解き明かすことにつながる。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(7 results)