2018 Fiscal Year Annual Research Report
大陸衝突帯地下深部における地殻流体の起源と活動時間スケールの解明
Project/Area Number |
16J01136
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
東野 文子 東北大学, 環境科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 水熱実験 / 塩水 / 含水鉱物 / 水素イオン濃度 / SIMS / 酸素同位体 / 高温変成岩 |
Outline of Annual Research Achievements |
黒雲母の組成が塩素に富む場合の流体組成条件を制約するために岩石―水相互作用の実験を行うことに焦点を当て、花崗岩粉末と塩水を入れた金チューブと、コールドシールタイプの水熱反応装置を用いた実験を行った。基本的な実験条件は、700℃、0.2GPa、実験時間は1週間とし、流体/岩石比と塩水の組成を変化させて反応物の比較を行った。塩水は、NaCl、KCl、CaCl2、HClを混合して作成した。いずれの組成の塩水も先行研究で提唱された相図に基づいてXH2Oを調整し、花崗岩粉末が溶けない塩水組成で実験を行うことで、黒雲母のOH基がClに置換する反応が起きると期待した。しかし、塩水の組成によっては、黒雲母が溶解している微細組織が観察された。複数回の実験の結果、黒雲母の安定領域が流体中のカチオン濃度に影響されること、黒雲母が塩素に富む組成を有するには流体のpHが大きく関係していることが分かった。この成果については公表に向けてまとめている状態である。 1年目から取り組んでいた、塩水流入によって形成されたザクロ石―角閃石反応縁の形成メカニズムと、壁岩への物質移動を議論した論文が、Journal of Petrology誌に受理・掲載された(Higashino et al., 2019)。 1~2年目のスイス滞在中に得た成果は、本年度に再度渡航して追加の解析と議論を重ねた後、国際誌に投稿し、Major revisionの査読結果を受けて改訂中である。本論文は、ザクロ石のコア・リム境界で塩水が流入したと考えられる試料に対して、ザクロ石の局所酸素同位体分析を行うことで、塩水の起源と塩水が流入した変成条件の高温継続時間を議論したものである。この塩水の起源は、露頭で確認できていない岩相由来である可能性も捨てきれないが、既存の研究と比較すると、苦鉄質岩・超苦鉄質岩由来である可能性が高い。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(14 results)