2016 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロ相分離構造の超微細化を実現するブロック共重合体の分子設計
Project/Area Number |
16J01414
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉田 康平 北海道大学, 大学院総合化学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | ブロック共重合体 / ミクロ相分離構造 / 高分子反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度中、申請者はポリスチレン(PS)とポリメタクリル酸メチル(PMMA)からなるブロック共重合体(PS-b-PMMA)に対して種々のアミン化合物を反応させることで、PMMAの側鎖エステルを一部アミド化した。導入した少量のアミド側鎖は、PS-b-PMMAのミクロ相分離挙動を明らかに変化させた。実際には、PSとPMMA間の斥力が向上したと考えられ、本来相分離することのない低分子量領域のPS-b-PMMAをミクロ相分離させることにことに成功した。 PS-b-PMMAはパイロットスケールでの生産が可能な汎用性の高いブロック共重合体の1つであり、ブロック共重合体を用いた次世代リソグラフィー技術への応用が期待されている。そのため、PS-b-PMMAをより小さい分子量領域でミクロ相分離させることに成功した本成果は、次世代リソグラフィー技術の発展に大きく寄与し得る内容である。 当該年度中、申請者は本来、種々の分岐構造を有するPS-b-PMMAを合成し、その非線形高分子構造の寄与によるミクロ相分離構造の微細化を試みる予定であった。しかしながら、分子量分布の狭い分岐型PS-b-PMMAの合成が難航したため、PMMA中に種々のアミド側鎖を導入するという全く異なるアプローチに切り替え、ミクロ相分離構造の微細化という目標を達成した。また、現在の成果を国際誌にて報告するため論文執筆を進めている。今後も高分子構造の制御だけではなく様々なアプローチを駆使してミクロ相分離構造の微細化を達成する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的ではポリスチレン(PS)とポリメタクリル酸メチル(PMMA)からなるブロック共重合体(PS-b-PMMA)に種々の分岐構造を導入し、高分子構造を変化させることで低分子量領域でPS-b-PMMAをミクロ相分離させることを目的としていた。しかしながら、分子量分布が狭く分岐構造を有するPS-b-PMMAを合成するためには高度なアニオン重合技術が必要であり、その合成が難航していた。そこで本年度途中より、分岐構造を有するPS-b-PMMAの合成を中断し、高分子反応によりPMMA鎖中に種々のアミド側鎖を導入する手法を遂行した。その結果、種々のアミド側鎖を導入したPS-b-PMMAは、期待通りに本来相分離することのない低分子量領域でミクロ相分離構造を形成した。予定したいたアプローチを遂行することはできなかったが、他の手法で当初の目的を達成することができたことから、本研究は概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、ポリスチレン(PS)とポリメタクリル酸メチル(PMMA)からなるブロック共重合体(PS-b-PMMA)のPMMA中に導入した種々のアミド側鎖が、PS-b-PMMAのミクロ相分離挙動に大きく寄与することが明らかとなった。また、そのアミド側鎖の導入量はごく少量で十分影響があることが明らかとなっている。よって、PMMA鎖中ではなく、末端のみに何らかの官能基を導入するだけでPS-b-PMMAのミクロ相分離挙動を変化させることができる可能性が示唆された。今後は、PS-b-PMMAの末端への種々の官能基導入(特に、PMMA末端への極性基導入)を行い、それらがミクロ相分離挙動に与える影響を検討する。さらに、最終的には当初の研究計画であった分岐構造などの特殊構造化法と組み合わせ、より小さなミクロ相分離構造を形成可能な分子設計を探索していく。
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