2018 Fiscal Year Annual Research Report
パルス中性子ビームとガス検出器を用いた中性子ベータ崩壊の精密測定
Project/Area Number |
16J01507
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長倉 直樹 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 中性子 / ベータ崩壊 / Time Projection Chamber |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では弱い相互作用の基本過程である中性子のベータ崩壊事象を精密に測定することを目的としている。宇宙初期の元素合成予言モデルのインプットとなる崩壊寿命を測定するために、J-PARCのパルス中性子ビームラインを用いる。中性子をバンチ化するSpin Flip Chopperというデバイスおよびベータ崩壊の検出器としてTime Projection Chamberを開発し、2014年からデータ取得を開始した。2017年度に加速器の運転強度および検出器の安定性が向上し本格的な物理データとしてデータ統計量が2016年までの約4倍に増加した。2018年度はデータ取得を続ける一方で、並行して取得済みのデータのクオリティ評価、検出器のキャリブレーション、モンテカルロシミュレーションの構築を行った。データのクオリティ評価に関しては、Time Projection Chamberのカソードワイヤー信号のペデスタル不安定性、トリガー条件生成ロジックの不調、ノイズレベルの上昇といった問題を発見し、それらの排除あるいは補正を行なった。これらの結果をまとめて、中性子崩壊寿命の値を898.8±4.7(stat.)+7.7-8.9(syst.) 秒と導出した。本結果は、先行実験の測定精度には及ばないものの、パルス中性子を用いた新しい手法で初めて10秒程度の測定を行ったという点で一つのマイルストーンとなった。我々の最終的な目標精度(1秒)の実現に向けて、統計誤差・系統誤差の両面を低減していく必要がある。現段階で主要な系統誤差を低減するための具体的な改善案を提案した。また、統計量に関しても、現状のセットアップでは300日、ビーム輸送系を大型化することで60日程度のビームタイムで1秒の統計誤差を実現することを試算し、目標精度が現実的なスケジュールで実現可能なことを示した。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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