2017 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical study of ultrafast X-ray photoelectron diffraction
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16J01519
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
水流 翔太 千葉大学, 理学研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | UXPD / 2原子分子 / 光解離反応の追跡 / 長い核間距離 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の多中心LCAO法による静的XPD計算法の適用は、脱離基と残渣との距離が25 bohr程度に達するまでに限られる。一方、多重散乱による計算法は両者の距離によらず適用可能であるが、ポテンシャル領域が各原子核を中心とする球対称ポテンシャル領域とポテンシャル一定の空間領域に区切られるために定量的な精度が劣る。このジレンマは、核間距離が25 bohr程度に達するまでは従来の多中心LCAO法を適用し、これより長い核間距離では孤立原子のポテンシャルによる多重散乱法を適用することで、少なくとも二原子分子の光解離反応については解決されると考えられる。 本特別研究員はイタリアTrieste大学のPiero Decleva教授を長期訪問し、密度汎関数理論(DFT)による二原子分子のUXPDを上記の見込に沿って計算した。光解離するCl2, Br2, I2分子についての計算結果は、上記2つの枠組みの単純な組み合わせにより2原子分子の光解離反応が解離極限まで絶え間なく追跡可能であることを示している。また核ダイナミクス計算を完全に量子力学的に行ってIBrのUXPDを計算したところ、核間距離が25 bohr程度に達するまではUXPDが励起光パルスに依存する振動波束の形を反映することが明確になった。 本研究で例にした等核ハロゲン分子の光解離反応は有機化合物の光ハロゲン化反応の起爆剤と考えられている。よって、本研究によりいくつかの実用的な光化学反応の素過程が追跡可能になったということができる。また、多重散乱法を球対称でないポテンシャル間の散乱に適用できるように拡張すれば、つまり球対称でない脱離基と残渣とに適用できるようにすれば、2原子分子以外の光解離・脱離反応も解離極限まで絶え間なく追跡可能になると見込まれる。本研究の成果はJ. Chem. Phys.誌に掲載された。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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