2017 Fiscal Year Annual Research Report
森川海の連続性に着目したニホンウナギの回遊生態の解明と保全に関する研究
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16J01523
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
板倉 光 神戸大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | ニホンウナギ / 回遊意思決定 / 成長戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
ニホンウナギの回遊の意思決定プロセスを明らかにするため、島根県神西湖において野外調査を実施した。本年度の主な研究成果を以下に示す。 (1)採集した銀ウナギについて、耳石の解析から個体毎に各年の成長量を求め、混合分布モデルを用いたクラスター解析により回遊型毎に成長戦略を調べた。その結果、銀ウナギの成長は高成長~低成長を含む4つのパタンにクラスター分けされた。回遊型毎に成長パタンを比較したところ、汽水ウナギでは、3つのパタン(1、2、4)が出現し、高成長パタンをとる個体が大部分を占めるとともに、成長パタンの多様性が高かった。これに対し、淡水ウナギについても3つのパタン(1、3、4)が出現したが、その組成には大きな偏りが認められ、低成長パタンをとる個体が大部分を占めた。以上より、ウナギの成長には多様な成長パタンを持つことが示された。また、淡水ウナギに比べて汽水ウナギでは成長戦略の多様性が高いこと、高成長パタンをとる個体が多いことが明らかとなった。 (2)降河回遊開始の意思決定プロセスを明らかにするためには、上記の結果を踏まえた上で今後は成長戦略を黄ウナギと銀ウナギ間で比較する必要がある。生態学的な特徴を両者で比較するためには、回遊を事前に個体レベルで予測することが必要である。そこで、生殖腺の観察と標識再捕法の組む合わせにより、秋季の降河回遊開始を個体レベルで事前に予測することができるかどうか検討した。しかし、標識放流を行ったが、昨年度中に再捕することができなかった。そのため、同様の生殖腺の観察と標識再捕法を2018年も実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
耳石の解析から成長戦略について検討できており、また、初年度の成果を国際誌に投稿することができたため、概ね順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
耳石の解析は順調に進んでいる一方で、標識個体の再捕獲には課題が残っている。今後は再捕率をあげるための工夫(目立つ外部標識の装着など)をして、標識再捕実験と生殖腺の観察から回遊を個体レベルで事前予測する技術を確立させたい。
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[Presentation] Discrimination of wild and stocked Japanese eels based on otolith stable isotope ratios.2017
Author(s)
Kaifu, K., Itakura, H., Amano, Y., Shirai, K., Yokouchi, K., Wakiya, R., Murakami-Sugihara, N, Washitani, I. & Yada, T.
Organizer
The 1st UK International Eel Science Symposium
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[Presentation] A study on the natural distribution of the Japanese eel in the Tone River system, Japan.2017
Author(s)
Arai, K., Itakura, H., Yoneta, A., Kaifu, K., Yoshinaga, T. & Kimura, S.
Organizer
The 1st UK International Eel Science Symposium
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[Presentation] Inhabitation of the European eel in the Japanese rivers.2017
Author(s)
Kimura, S., Arai, K., Itakura, H., Yoneta, A., Yoshinaga, T. & Kaifu, K.
Organizer
The 1st UK International Eel Science Symposium