2017 Fiscal Year Annual Research Report
化学反応下での両親媒性分子集合体の形態変化 マルチスケールにわたる理解
Project/Area Number |
16J01728
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中川 恒 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 粗視化シミュレーション / 二重膜 / 両親媒性分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度行った研究実績を二つに分けて説明する。 1) 加水分解反応と脱水縮合反応によって引き起こされる二重膜の形態変化に関する研究 加水分解反応と脱水縮合反応は生体内で広くみられる基本的な化学反応である。これら二つの化学反応によって引き起こされる二重膜の形状変化を粗視化シミュレーション手法を用いて調べた。シミュレーションの結果、二種類の形状変化が見られることがわかった。一つは円盤形状の二重膜の突起が成長する、bilayer protrusionと呼ばれる形状変化、もう一つはbuddingと呼ばれる形状変化である。さらに解析を進め、これら二つの形状変化が熱力学的性質だけでなく、膜とバルク溶液の粘性係数の違いによって支配されることを明らかにした。この結果は膜とバルク溶液の粘性に違いをつけることで、二重膜の形状変化を制御できることを示唆している。さらにこの結果は、実験において二重膜の形状を制御する新しい手段をも示唆するものである。 2) 多価不飽和脂肪酸が二重膜の力学的物性に及ぼす影響に関する研究 脂質の化学反応によって生じる疎水性分子の中には、二重膜に埋め込まれて存在するものがある。こうした反応生成物により二重膜はヘテロな組成となる。このようなヘテロな組成は二重膜の力学的性質を大きく変化させることが先行研究により知られているが、その分子論的起源は明らかではなかった。こうした、組成の変化に伴う二重膜の力学的性質の変化を定量的に調べるため、全原子シミュレーションを用いた研究を行った。具体的には、脂質の疎水基に二重結合を導入した場合の力学的性質の変化を調べ、二重結合の導入により曲げ弾性率が減少することを定量的に示した。さらに、こうした二重結合の導入に伴う曲げ弾性率の減少と、網膜や神経細胞など高い曲率を持つ生体膜の形成との関係性を、ノックアウトマウスを用いた実験結果と照らし合わせ明らかにした。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Docosahexaenoic acid preserves visual function by maintaining correct disc morphology in retinal photoreceptor cells2017
Author(s)
H. Shindou, H. Koso, J. Sasaki, H. Nakanishi, H. Sagara, K. M. Nakagawa, Y. Takahashi, D. Hishikawa, Y. Iizuka-Hishikawa, F. Tokumasu, H. Noguchi, S. Watanabe, T. Sasaki, and T. Shimizu
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Journal Title
The Journal of Biological Chemistry
Volume: 292
Pages: 12054 12064
DOI
Peer Reviewed
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