2017 Fiscal Year Annual Research Report
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16J01745
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増子 貴宣 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 再生医療 / 脂肪幹細胞 / 血管内皮細胞 / ミューズ細胞 / 脂肪移植 / 放射線障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、当研究の治療対象である「幹細胞欠乏を本態とした難治性組織」の代表例である放射線障害マウスモデルについて、さらなる改良を行った。放射線量を下げて、照射頻度を上げることによって、がん放射線治療にこれまで以上に酷似したモデルを作成することに成功した。 また、それらに対する発展的な治療として、高機能幹細胞を用いた治療について検討した。近年、従来では均一とされていた幹細胞集団の中にも階層性が存在することが注目されていることを踏まえて、ヒト脂肪由来幹細胞集団を詳細に解析し、Muse細胞の指標とされるSSEA-3をはじめとして、様々な幹細胞マーカーや遺伝子について評価した。同時に、種々のストレス(熱、低pH、タンパク分解酵素など)を付加することによって高機能幹細胞の選択的培養を行う方法や、さらにマイクロビーズや振とう培養器を用いた3次元浮遊攪拌培養による、高機能幹細胞の大量培養法について検討を重ね、有用性の確認および最適化を行った。これによって、より再生治療能の高い細胞集団、つまりTrophic factor放出などの間接的作用だけではなく、病的組織への分化などの直接的修復を行えるような細胞集団を創成可能であり、治療効果がさらに高まると考えられる。 また、前年度まで取り組んでいた凍結解凍後の脂肪組織の再生医療への応用可能性や、コラーゲンスポンジをバイオスカフォールドとして使用した幹細胞治療の有用性に関する論文を、海外の学術雑誌にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主な治療対象である幹細胞枯渇を本態とする難治性組織の動物モデルや、それに対する有効な再生治療法としての脂肪移植、脂肪幹細胞移植、コラーゲンスポンジと組み合わせた細胞治療などの有用性を確認できている。さらにそれを発展させるための高機能幹細胞の富化、選択的培養に関する実験もvitroでは進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまで得られた知見を臨床に還元していくために、ヒト臨床試験につなげていくことのできるようなvivoのデータを蓄積していきつつ、実際の申請や承認に必要なデータを収集、整理していく。
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