2016 Fiscal Year Annual Research Report
観測および数値計算を連携させた津波減災情報システムの構築
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16J01768
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
門廻 充侍 関西大学, 社会安全研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 海洋レーダ / GPS波浪計 / 特性化波源モデル / 津波波源推定 / 南海トラフ地震津波 / 津波断層 / 津波観測情報 / 不均一すべり分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究計画の概要】 本研究は,観測および数値計算を連携させた津波減災情報システムの構築を目指すものである.津波減災情報システムとは,従来の地震波解析に加え,海洋レーダや沖合観測機器による観測情報と数値計算を連携させることで,地震発生時に津波波源を特定し,津波警報の信頼性向上,激甚被災地探索,災害廃棄物の把握および高解像度津波予報を実現するシステムである. 【本年度の研究概要】 これまで検討されてきた津波波源の推定手法は津波断層を小断層群で分割しているため,推定には津波高分布などの多くのデータと試行錯誤を行う時間が必要である.そこで平成28年度は,津波発生直後に限られたGPS波浪計および海洋レーダの観測データのみを使用した特性化波源モデル推定法を検討した.これは,地震発生時に地震規模および震源から決定した矩形断層モデルを初期条件とし,観測結果と計算結果の比較から津波断層モデルを修正し,津波伝播計算を繰り返すことで特性化波源モデルを推定する手法である. 特性化波源モデルは背景領域(BZ),大すべり域(LSZ)および超大すべり域(SLSZ)で構成されており,BZ,LSZ,SLSZの順で推定する.本研究での推定対象は,各領域の断層長(L),断層幅(W)およびすべり量(D)であり,LおよびWは相関係数を,Dは回帰係数を用いて推定する.その他の断層パラメータは定数とする. 本手法の検討により以下の成果を得た.(1)LSZおよびSLSZの有無に対する感度分析から,背景領域を推定することで,両係数からLSZおよびSLSZの形成位置を推定できることを示した.(2)海洋レーダ等を用いた特性化波源モデル推定法を南海トラフ周辺の実地形で検討した結果,発生したと考え得る津波断層モデルを推定できることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の目標であった「GPS波浪計および海洋レーダの観測情報を用いた津波波源推定法の検討」については,観測情報と数値計算を組み合わせた特性化波源モデル推定法を検討し,南海トラフ巨大地震津波を対象とした検証と改良を重ねたことにより達成できた.したがって,本研究課題は概ね順調に進展していると評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は,海洋レーダおよびGPS波浪計の観測情報と津波伝播計算を組み合わせた特性化波源モデル推定法の検討を行った.また南海トラフ巨大地震津波を対象に検証を実施した.平成29年度は,特性化波源モデル推定法を応用し,津波減災情報システムの構築を実施予定である.
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