2016 Fiscal Year Annual Research Report
垂直磁化膜を有する強磁性トンネル接合を用いた次世代磁気センサの開発
Project/Area Number |
16J01812
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中野 貴文 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
|
Keywords | トンネル磁気抵抗効果 / 強磁性トンネル接合 / 磁気センサ / 垂直磁気異方性 |
Outline of Annual Research Achievements |
強磁性トンネル接合(MTJ)の電気抵抗は,トンネル磁気抵抗(TMR)効果によって外部磁場に応じて変化するため,磁気センサ(いわゆるTMRセンサ)に応用できる.TMRセンサは,高感度・低消費電力・微小サイズといった優れた特長を持つことから,自動車産業における各種磁気センサへの応用が期待されている.本研究では,±1 kOe以上の広いダイナミックレンジが必要とされる,バッテリの電流検出に用いる車載用磁気センサへの適用を目指し,面内磁化-自由層と積層反強磁性(SAF)構造を用いた垂直磁化-固定層を有するTMRセンサを世界で初めて開発した(本構造に関連する2件の特許を出願中).また,その実験結果を,本研究で構築した理論モデルと比較することで,TMRセンサの性能を決めるメカニズムを明らかにした. 本研究で作製したTMRセンサは,そのSAF構造の大きな反転磁場に由来して,±2.5 kOe以上の極めて広い磁場範囲において,線形な磁気抵抗曲線を示した.このダイナミックレンジの大きさは,目標値である±1 kOeを十分に満たし,かつ,これまでに報告されているTMRセンサの中で世界最大である.また,そのセンサ性能を評価したところ,その感度と非線形性はいずれも,自由層の異方性磁界の増大とともに,単調に減少した.この実験結果は,本研究で構築した理論モデルと定量的に良く一致した.したがって,この理論モデルは,所望の性能を示すTMRセンサを設計するための指針として利用できると結論づけられる.これらの研究成果は,SAF構造を用いた垂直磁化-固定層を有するTMRセンサが,広いダイナミックレンジが必要な磁気センサのための,最も有力な構造であることを実証するものである.車載応用以外にも,広いダイナミックレンジを有する磁気センサとして,既存のホール素子などを置き換え,幅広い用途で活躍することが期待できる.
|
Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
|
-
-
-
-
-
-
-
-
[Patent(Industrial Property Rights)] 磁気センサ2016
Inventor(s)
古市喬干,青建一,安藤康夫,大兼幹彦,中野貴文
Industrial Property Rights Holder
古市喬干,青建一,安藤康夫,大兼幹彦,中野貴文
Industrial Property Rights Type
特許
Industrial Property Number
2016-177860
Filing Date
2016-09-12
-
[Patent(Industrial Property Rights)] 磁気センサ2016
Inventor(s)
古市喬干,青建一,安藤康夫,大兼幹彦,中野貴文
Industrial Property Rights Holder
古市喬干,青建一,安藤康夫,大兼幹彦,中野貴文
Industrial Property Rights Type
特許
Industrial Property Number
2016-132536
Filing Date
2016-07-04