2017 Fiscal Year Annual Research Report
生体環境でのアポリポタンパク質アミロイド形成機構の解明とその制御法の開発
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16J01828
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
水口 智晴 徳島大学, 大学院薬科学教育部, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | アポリポタンパク質 / アミロイド / 脂質 / ホスファチジルセリン / アクリロダン |
Outline of Annual Research Achievements |
アポリポタンパク質A-I(アポA-I)は、高密度リポタンパク質(HDL)の主要構成タンパク質であり、血中コレステロールの恒常性維持に重要な役割を担っている。アポA-Iはリポタンパク質粒子間での可逆的な結合平衡によって機能を調節しているが、その柔軟で不安定な高次構造ゆえ遺伝子変異や酸化などの修飾によりアミロイド線維化を起こしやすいことが知られている。 これまで、アポA-Iの代表的なアミロイドーシス変異であるIowa(G26R)変異が、水溶液中のみならず脂質膜環境下でも線維形成を促進することを報告してきた。さらに、構成脂質組成の影響を評価したところ、酸性リン脂質であるホスファチジルセリン(PS)はIowa変異型アポA-Iの線維形成を阻害することが示された。本研究では、アポA-Iタンパク質の局所環境の評価により、生体膜環境でのアポA-Iアミロイド線維形成機序の解明を目指す。 アポA-Iにシステイン残基を導入した変異体を設計・作製し、環境感受性蛍光プローブであるアクリロダンで標識した。アクリロダンは周囲環境により最大蛍光波長がシフトする特性を有するため、脂質膜結合時の局所的な環境評価が可能である。結果、PSを含有する脂質膜上ではIowa変異周辺が親水的環境に露出しており、この領域がアポA-IとPSとの相互作用に関与することが示された。 アポA-Iアミロイドーシスは、遺伝子変異の違いにより線維の沈着する臓器が異なることが知られている。脂質組成の違いにより線維形成性が影響を受けることは、アポA-Iアミロイドーシスの発症メカニズムを解明する上で重要な知見であると言える。さらに、部位特異的な蛍光測定による解析を進めることで、脂質とアポA-Iの相互作用様式および線維形成機序について詳細な分子メカニズムの解明が期待される。本成果は本年Scientific Reportsに掲載された。
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Research Progress Status |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(10 results)