2016 Fiscal Year Annual Research Report
ヴェルサイユ条約をめぐるイギリス外交とヨーロッパ国際秩序、1924-1929年
Project/Area Number |
16J01838
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤山 一樹 慶應義塾大学, 法学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
|
Keywords | イギリス外交史 / 国際関係史 / ヴェルサイユ条約 / 国際秩序 / ドイツ問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は研究計画に沿って、論文の執筆と公刊、ならびに史資料の収集を行った。 第一に研究課題の中核をなすラインラント占領問題について、1920年代後半のイギリス政府が展開した政策を実証的に分析し、その成果は「連合国ラインラント占領をめぐるイギリス外交、1924-1927年」として査読誌『法学政治学論究』に掲載された。この分析により、ロカルノ条約の成立を機にイギリス政府内では対外政策決定過程の中心にあった外相サー・オースティン・チェンバレンのみならず、政策立案の多くを担う外務省(中でもドイツ問題を中心的に扱う中欧局の主要官僚)、また軍事的見地から外務省に助言を提供した陸軍省幹部がそれぞれの対独脅威認識を著しく低下させており、この点こそイギリス政府が占領の早期終結を求める基本的論理であったことが明らかとなった。 第二に、研究をさらに前進させるべく、イギリス各地で6月および12月に史料収集を行った。ロンドンの国立公文書館では分析の終点である1929年8月のハーグ会議前後の内閣、外務省、大蔵省ならびに陸軍省ファイルを、ケンブリッジのチャーチル・アーカイヴ・センターでは当時の内閣書記官長であったモーリス・ハンキーの個人文書を、またオックスフォードのボドリアン図書館では当時の陸相ワージントン=エヴァンズおよび駐独大使ホラース・ランボルドの個人文書を収集し、今後の分析の重要な部分をほとんどくまなく入手することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は当初の計画で定めたとおり、研究の土台となる史料収集をおおむね完了するとともに、研究成果の一部を査読誌に公刊することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度の活動では研究の土台となる史料収集の継続はもちろんのこと、研究成果の発表にも重点を置くことにしたい。より具体的には学会での報告ならびに現在執筆中の論文の公刊である。
|