2018 Fiscal Year Annual Research Report
交尾体位とオス生殖器形態の協調的な進化に関する研究
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16J01904
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
稲富 桃子 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 雄生殖器回転 / 双翅目昆虫 / 交尾体位 / 進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
進化の過程において、動物の形態と行動は協調的に進化してきたはずだが、そのメカニズムはよくわかっていない。例えば、双翅目昆虫には少なくとも2種類の交尾体位がある。また多くの種で、雄生殖器が回転し、その角度は種によって異なる。そこで、雄生殖器回転と交尾体位の間には何らかの協調性があると考え、それを示すことを目的とした。 Myo31DF遺伝子は、I型ミオシンをコードしており、この遺伝子の突然変異体キイロショウジョウバエでは、生殖器の回転方向が逆になる。また、回転が不完全になり、最終的な雄生殖器の向きが「ずれた」雄が頻出することが知られている。このようなMyo31DF突然変異体の雄を用いた交配実験により、生殖器の向きが大きくずれた雄は交尾できず、雄生殖器の適切な向きが交尾成功の前提条件であることが示唆された。これは生殖器回転と交尾体位の間の協調的進化を示唆している。 次に、異なる交尾体位においても、雄生殖器の向きが交尾体位の前提条件かを調べた。ネッタイシマカでは、雄生殖器は180度左右ランダムに回転する。また、ネッタイシマカはMyo31DFのオーソログ遺伝子(AAEL012631)を有する。そこでショウジョウバエと同様、この遺伝子が雄生殖器回転で機能していると考え、CRISPR-Cas9法で、独立な2系統のAAEL012631遺伝子突然変異体系統を作製した。これらの蚊の雄生殖器回転における表現型を調べた結果、AAEL012631遺伝子は回転の方向の決定には関与していないことが分かった。しかし、これらの突然変異体では、回転にかかる時間が明らかに伸びたことから、AAEL012631遺伝子は雄生殖器の回転機構に何らかの形で関わっていることが示唆された。 また、ネッタイシマカ雄の腹部をCT撮影によって観察した結果、蚊の雄生殖器の回転では体内構造の配置も保存した状態で回転していることが示唆された。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)