2016 Fiscal Year Annual Research Report
高速三次元ＡＦＭの開発とそれを用いた分子吸着構造のサブナノスケール観察技術の確立
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16J01938
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| Research Institution | Kanazawa University |
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Principal Investigator |
宮澤 佳甫 金沢大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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| Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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| Keywords | 原子間力顕微鏡 / AFM / 三次元走査型力顕微鏡 / 3D-SFM / 潤滑剤 / Lubricant |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、固液界面構造をサブナノスケールで可視化することが可能な三次元走査型力顕微鏡（3D-SFM）を応用し、複雑な構造を持つ実用材料の3次元構造解析手法の確立を行う。本手法を用いたこれまでの先行研究では、マイカや脂質膜などの比較的平坦な表面における3次元計測が行われてきたが、本研究では、従来よりも複雑な構造をもつ実用材料の3次元計測を実現し、本手法の幅広い研究分野への応用を目指す。これを実現するために、複雑な試料表面上でも3次元計測を可能とする装置改良や、それを用いた実用材料の3次元計測を行う。
本年度は、①安定性の高いカーボン探針の開発（装置改良）と、②産業実用材料の3次元分子吸着構造計測（応用研究）を行った。①カーボン探針の開発では、汎用的なAFM探針と比べて大幅に機械的強度が高いカーボン探針を作製するプロセスの検証を行った。具体的には、カーボン探針の密度や形状を変化させて機械的強度の高い探針を設計し、その探針を実現するための電子顕微鏡の条件を調整し、安定な3D-SFM計測を可能とする探針を開発した。②産業実用材料の3次元分子吸着構造計測では、産業実用材料のサンプルモデルとしてハードディスク（HD）用潤滑剤の3D-SFM計測を行った。①で開発したカーボン探針を用いて3D-SFM計測を行ったところ、取得した3次元力分布像には、分子スケールの繊維状コントラストが確認された。この繊維状コントラストは、これまで予想されていた潤滑剤分子の吸着構造と類似しており、潤滑剤の分子鎖の骨格を表しているものと考えられる。また、これらは3次元空間上で複雑な構造と分布を示しており、実環境下では潤滑剤分子が非常に複雑な吸着構造を有している可能性が示された。以上のように、本年度は、3D-SFMが産業実用材料に直接応用できる可能性を示す重要な研究成果を得ることに成功した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、順調に進展している。本年度は、基礎的な検証実験として、ハードディスク用潤滑剤の3D-SFM計測を行ったが、潤滑剤分子の骨格と思われる繊維状コントラストの3次元計測に成功した。3次元空間上に存在する個々の分子の可視化や解析は未だ達成されていないが、3次元画像処理手法の開発や改良を進めることで、個々の分子の可視化や構造解析が実現できると考えている。
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| Strategy for Future Research Activity |
来年度は、3次元画像処理手法の開発に取り組み、3D-SFMで取得した3次元像から潤滑剤分子の骨格を取得して、個々の分子鎖の可視化や、局所的な吸着構造や被覆率・膜厚等の定量的な解析の実現を目指す。また、これらのデータ解析手法の開発と共に、実験側でも潤滑剤分子の種類や膜厚を変化させたものを用いて3次元計測を行い、本研究で開発した手法で取得した各種結果にそれらの違いが見られるかどうか検証する。
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