2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of an assessment system for detecting silent aspiration during sleeping using in vivo biomarkers
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16J02008
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
三浦 由佳 金沢大学, 新学術創成研究機構, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 誤嚥性肺炎 / 咳嗽反射 / 不顕性誤嚥 / 体動センサー / 口腔内細菌 / バイオフィルム |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度の研究結果より、体動センサーを用いたモニタリングシステムより臥床時の咳嗽の検出が可能であること、スワブ法とスポンジを用いる方法により若年者では口腔から十分量の試料採取が可能なことが明らかとなった。そこで2017年度は不顕性誤嚥をアセスメントするシステムを開発することを目的とし、①臥床時の咳嗽をモニタリングするシステムによる肺炎既往歴のある患者と無い患者の比較、②誤嚥性肺炎の発症と関連する口腔内バイオマーカーの探索のための試料収集、を実施した。 ①では、20名の高齢入院患者からデータ収集を行った。うち肺炎既往あり群は6名であった。若年健常者と同様の波形を示す咳嗽の信号の回数は肺炎既往歴あり群の2名においては顕著に多かったが、残りの4名については肺炎既往無し群とほぼ変わらなかった。また、体動センサーのデータと音声データを照合すると、肺炎既往なし群、あり群ともに若年健常者よりも弱い信号強度を示す咳嗽が頻回にみられることが明らかとなった。このことから、高齢入院患者では肺炎の既往の有無に関わらず咳嗽反射が健常者と比べて弱い可能性が示唆された。 ②では、肺炎の発症が無く嚥下障害の無い成人13名、肺炎の既往が6カ月以内にあり嚥下障害の認められる成人1名から唾液、口腔粘膜(舌表面、頬の内側、歯肉)、歯垢のサンプル採取を実施した。細菌カウンターで計測した口腔内細菌濃度は、肺炎の既往と嚥下障害のある対象者が33.4×105 cfu/ml であったのに対し、肺炎の既往も嚥下障害も無い対象者間では最小値3.04×105 cfu/ml、最大値409×105 cfu/mlとばらつきがあった。これらの結果から、肺炎発症との関連を調べるためには全体の菌数の測定だけでなく菌種を同定する必要があることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終年度には、体動センサーによるモニタリングと口腔内試料から得られるバイオマーカーの組み合わせによる肺炎発症の予測妥当性の検証とその有用性の評価を行うことを計画している。現在は患者からの体動センサーからのデータ収集は既に目標症例数に到達しており、口腔内の試料収集も着実に進んでいる。つまり、予測妥当性の検証と有用性の評価を行うための前向きコホート研究に向けた準備が整いつつあることから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は前向きコホート研究を行い、体動センサーによる肺炎の既往と関連する特異的な信号の検出と口腔内の試料から検出された各種マーカーの組み合わせによる肺炎発症予測の感度・特異度を算出する。その結果、最も感度・特異度が高値であった組み合わせを誤嚥性肺炎予測システムとする。さらに、システムを誤嚥性肺炎のリスクの高い患者に導入した結果得られる肺炎予防効果について検証する。
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