2016 Fiscal Year Annual Research Report
ALMAにより見えてきた新しい星形成銀河種族の多波長解析と宇宙星形成史の研究
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16J02047
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山口 裕貴 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | ALMA / サブミリ波銀河 / 無バイアスサブミリ波輝線銀河探査 / 輝線光度関数 / 遠赤外微細構造輝線 |
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙全体の星形成活動を理解するためには,赤外線背景放射の大部分を占めるとされる,暗いサブミリ波銀河の性質を知ることが必要である.我々は,ALMA を使った波長 1.1 mm の連続波探査によって検出された,5 つのALMA 天体に対し,多波長解析を行なった.多波長 SED 解析は 5 天体中 4 天体が星形成銀河のメインシークエンスに属していることを示唆している.残る 1 天体は可視光/近赤外線で非常に暗く,深い電波画像と組み合わせることで,z ~ 2-3 のスターバースト銀河である可能性が高いことが分かった.これは ALMA によって単一鏡のコンフュージョン限界以下かつ可視光/近赤外線の深探査では検出できない星形成銀河種族が分解できたことを示している.
近年の研究により, 宇宙の星形成率密度の進化が明らかになってきた.ところが,高赤方偏移(z > 3-4)でのダストに覆われた星形成活動の役割や宇宙の星形成率密度がz = 2からz = 0 にかけて減少する理由はまだ明らかになっていない.そこで本研究では,4 つの重力レンズ銀河団のALMAデータを用いて,サブミリ波輝線銀河光度関数の制限を行った.我々の研究では重力レンズ銀河団の像高を利用し,より暗い範囲まで観測的に初めて制限することができた.
銀河の金属量というのは,その銀河で行われてきた過去の星形成活動や銀河と銀河間空間とのガスのやり取りの歴史を反映していると考えられている.本研究ではダストによる減光の影響を受けにくい遠赤外線の微細構造輝線の輝線比を用いた銀河の金属量診断手法を輻射輸送計算からモデリングした.我々のモデルをHerschel望遠鏡で得られたSMGの分光データスタッキングの結果に適応すると,Herschel SMG の平均的な金属量は数太陽金属量以下であり,近傍のダストに覆われた銀河の値に近いことが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績であげた3つの概要のうち,先の2件については平成 28 年度中に結果を投稿論文にまとめ,論文受理 (暗いサブミリ波銀河の多波長解析)・投稿 (重力レンズ銀河団における無バイアス輝線銀河探査) まで仕上げている.
残る一つについても,当初の予定通り,輻射輸送モデルの解析手段を確立することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
特に ALMA データを用いた無バイアス輝線銀河探査について,さまざまな ALMA データへ適応し,サブミリ波輝線銀河光度関数に対する制限をより強いものにする.本研究は,ALMA に対して改めて観測提案を提出することなく,日々公開される ALMA アーカイブデータを利用することができる.
また,遠赤外微細構造輝線を用いた銀河の星間物質の物理化学状態診断については,,新たに水素原子密度や電離パラメータに関する依存性に注目して適応していく予定である.
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] ALMA Deep Field in SSA22: Blindly Detected CO Emitters and [CII] Emitter Candidates2017
Author(s)
N. H. Hayatsu, Y. Matsuda, H. Umehata, N. Yoshida, I. Smail, A. M. Swinbank, R. Ivison, K. Kohno, Y. Tamura, M. Kubo, D. Iono, B. Hatsukade, K. Nakanishi, R. Kawabe, T. Nagao, A. K. Inoue1, T. T. Takeuchi, M. Lee, Y. Ao, S. Fujimoto, T. Izumi, Y. Yamaguchi, S. Ikarashi, and T. Yamada
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Journal Title
Publication of Astronomical Society of Japan
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
Peer Reviewed
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[Journal Article] SXDF-ALMA 2 arcmin^2 Deep Survey: 1.1-mm number counts2016
Author(s)
Bunyo HATSUKADE, Kotaro KOHNO, Hideki UMEHATA, Itziar ARETXAGA, Karina I. CAPUTI, James S. DUNLOP, Soh IKARASHI, Daisuke IONO, Rob J. IVISON, Minju LEE, Ryu MAKIYA, Yuichi MATSUDA, Kentaro MOTOHARA, Kouichiro NAKANISHI, Kouji OHTA, Ken-ich TADAKI, Yoichi TAMURA, Wei-Hao WANG, Grant W. WILSON, Yuki YAMAGUCHI, Min S. YUN
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Journal Title
Publication of Astronomical Society of Japan
Volume: 68
Pages: 36-1, 36-8
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Detection of an oxygen emission line from a high redshift galaxy in the reionization epoch2016
Author(s)
Akio K. Inoue, Yoichi Tamura, Hiroshi Matsuo, Ken Mawatari, Ikkoh Shimizu, Takatoshi Shibuya, Kazuaki Ota, Naoki Yoshida, Erik Zackrisson, Nobunari Kashikawa, Kotaro Kohno, Hideki Umehata, Bunyo Hatsukade, Masanori Iye, Yuichi Matsuda, Takashi Okamoto, Yuki Yamaguchi
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Journal Title
Science
Volume: 352
Pages: 1559, 1562
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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