2016 Fiscal Year Annual Research Report
DNAヘリカーゼ装着における複製開始複合体の機能構造動態とその制御の解明
Project/Area Number |
16J02075
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
﨑山 友香里 九州大学, 薬学府, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
|
Keywords | 大腸菌 / 染色体複製開始 / DnaA / oriC / DnaBヘリカーゼ / DiaA / 一本鎖DNA結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
染色体DNAの複製起点へのDNAヘリカーゼの装着は、複製開始タイミングの決定に重要な過程であるが、その分子機構、及び制御機構は明らかでない【課題1、2】。大腸菌では、複製起点oriC上で形成されたATP結合型DnaA多量体が、oriCを局所的に一本鎖化し、DnaBヘリカーゼと相互作用することにより、DnaB装着を可能にする。報告者は、既に確立しているDnaA多量体中の特定のDnaA分子への変異導入法を用いて、高親和性DnaB相互作用に重要な複合体中のDnaA分子を、DnaB装着アッセイにより同定した【課題1】。また、見出された3つのDnaA分子の内、oriCの両端に位置する2分子は、大腸菌細胞を用いた解析でも正常な複製開始に重要であることが示唆された。更に、同様の手法によって、左側oriC上で多量体を形成するDnaA分子だけでなく、右側で多量体化するDnaA分子もDnaB装着時に一本鎖DNAと結合することが示唆された。これらの結果に基いて、左右のDnaA多量体による鎖選択的なDnaB装着機構の作業仮説を構築し、世界に先駆けて複製ヘリカーゼの装着機構の解明を目指す。報告者は更に、DnaBと競合してDnaAに結合するDiaAの適時的な結合制御について、DiaA機能が亢進した変異株、及びDiaA機能が阻害されている変異株を用いてDiaAの結合制御因子の同定を試みた【課題2】。しかし、目的の因子の同定には至っていない。 報告者は、これまでの研究成果を学術論文に投稿する(in revision)とともに、国際学会で発表した。また、上記の研究成果と合わせて国内学会で発表した。加えて、共同研究で進めていたDnaA-oriC複合体構造の分子シミュレーション結果を生化学的に検証し、共著者として論文に報告した(Shimizu et al., 2016 Proc Natl Sci U S A)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
【課題1】については概ね順調に進捗し、DnaB装着におけるDnaA複合体の機能構造についてより詳細な作業仮説を構築することができた。今後は、ビオチン修飾oriC DNAを用いたpull down解析等の生化学的実験や、大腸菌細胞内でのDnaA-DnaB特異的な相互作用の検出法の確立に取り組む。一方【課題2】については、目的の抑圧変異が得られていないため、計画が大幅に遅延している。
|
Strategy for Future Research Activity |
【課題1】低親和性のDnaB相互作用残基についても解析を行う予定であり、現在解析系の最適化を進めている。また、既存のDnaA多量体中の特異的なDnaA分子への変異導入法を拡張し、oriCの左右でそれぞれ異なるDnaA変異体を導入できる方法を構築し、各DnaAサブ複合体の機能からDnaB装着複合体の機能構造、およびその分子機構を明らかにしたい。 【課題2】 変異株を用いた抑圧変異の探索が難航するようであれば、細胞粗抽出液を分画し、DiaAの解離活性、もしくはDnaB装着活性の促進を指標として、制御因子の同定を目指す。
|
Research Products
(9 results)