2017 Fiscal Year Annual Research Report
脳機能解明に向けたシグナル伝達の多項目同時イメージング法の開発
Project/Area Number |
16J02105
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阿部 博弥 東北大学, 環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 電気化学イメージング / 神経伝達物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、脳組織、特に脳スライスから放出される2つ以上の神経伝達物質および、活動電位を同時に計測することを目標としている。 測定に使用するのは電気化学的手法で、電気化学測定電極が基板上に20×20個配列したCMOS型電気化学測定デバイスを使用する。これにより、各電極において、目標を達成するために、神経伝達物質を選択的に検出する方法が必要になる。 当該年度は、多項目同時計測デバイスの開発および神経伝達物質の選択的検出に向けた3つの検出システムの検討を行った。 1. 昨年度に続き、多項目同時計測に向けて、2つの電位を同時に印加することが可能なCMOS電気化学センサの開発に取り組んだ。このセンサを利用することで、各電位で各神経伝達物質を計測することができる。当該年度では、酵素修飾された電極および酵素修飾されていない電極の2種類の電極を用いることで、2種類の神経伝達物質(グルタミン酸およびドーパミン)の同時イメージングに成功した。また修飾する酵素の種類を変えることで、測定可能な神経伝達物質を選ぶことも可能である。これらに関する研究内容は、現在論文投稿中である。 2. 生体組織内には神経伝達物質以外に、アスコルビン酸等の電気化学活性種が共存しており、ドーパミンを電気化学的に検出する際にこれらも同時に検出されてしまう。そこで、特定の酸化還元電位の物質のみのシグナルを増強できるレドックスサイクルと呼ばれるシステムを本CMOS電気化学センサに組み込むことで、選択的に特定の神経伝達物質のみを検出することを検討した。これにより、ドーパミンの高感度検出のみならず、アスコルビン酸存在下での神経伝達物質の選択的イメージングに成功した。これらの結果に詳細な解析を加え、今後論文を投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、脳組織、特に脳スライスから放出される2つ以上の神経伝達物質および、活動電位を同時に計測することを目標としている。当該年度でも初年度同様に、多項目同時計測可能なデバイスの開発および神経伝達物質の選択的検出に向けた開発を予定していた。 初年度に作製した多項目同時計測可能な電気化学デバイスを用いて、ドーパミンとグルタミン酸の2つの神経伝達物質の同時イメージングに成功し、これに関する論文は投稿中である。新たに本デバイスを改良し、レドックスサイクル誘導な電気化学イメージングデバイスを開発することにより、アスコルビン酸等の存在下においても、神経伝達物質のみを選択的にイメージングすることに成功した。以上の成果が得られていることから、期待通りに研究が進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までは、CMOS型電気化学イメージングデバイスを用いた、神経伝達物質を検出可能な電気化学デバイスの開発を行ってきた。最終年度である3年目は、電気化学イメージングデバイスの構築および神経伝達物質を放出する実サンプルの評価を目的とする。具体的には、神経伝達物質放出可能な実サンプルの評価方法として刺激方法、検出方法、薬剤処理等の適切な実験条件を検討する。また、実サンプル測定に合わせてデバイスの感度・デバイスの構造・イメージ取得時間・デバイス表面への酵素修飾濃度等を調整し準備する。実サンプルは、神経細胞の集合体(神経細胞塊)や脳スライスを準備する。実験方法は、例えば、ドーパミンなどの神経伝達物質の受容体を阻害するような薬剤を添加し、神経伝達物質の伝達・広がりに与える影響の評価などを行う。
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Research Products
(5 results)