2016 Fiscal Year Annual Research Report
DGKαに着目した糖尿病性腎症を改善する機能性食品及び創薬の開発と作用機序の解明
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16J02115
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
林 大輝 神戸大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 糖尿病性腎症 / エピガロカテキンガレート / ビタミンE / ジアシルグリセロールキナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病を発症させたマウスに様々な濃度の緑茶カテキンであるエピガロカテキンガレート(EGCg)及びビタミンE(VtE)を経口投与したところ、糖尿病性腎症(DN)の指標である尿アルブミン量及び尿量の上昇が有意に抑制される結果が得られた。さらに、EGCgでは投与量約75 mg/kg/dayで、VtEでは約15 mg/kg/dayで有意にDNの改善効果が認められた。これらの結果は、EGCg及びVtEがDNを改善する機能性食品となる可能性を強く示唆している。さらに、EGCg及びVtEはDNにおいて腎糸球体のポドサイトと呼ばれる細胞の脱落を抑制することでDNを改善することを明らかにした。また、これまでにEGCg及びVtEは67LRと呼ばれる受容体を介しDGKalphaを活性化することを明らかにしているが、VtEの67LR相互作用領域がEGCgと異なっていることを明らかにした。さらに、EGCg及びVtEによるDGKalphaの活性化にはSrc系チロシンキナーゼによるDGKalphaのチロシンリン酸化が重要であることが示唆された。これらの結果は、EGCg及びVtEがDGKalphaの活性化を介しDN改善に寄与するメカニズムの解明において重要な知見である。DN改善薬開発に向けた新規DGKalpha活性化剤のスクリーニングについては、1万化合物の中からDGKalphaを活性化し、活性化の指標である細胞質膜へのトランスロケーションを誘起する化合物を見出した。その化合物についてDGKalphaへの特異性を検証するために、10種全ての哺乳類DGKサブタイプの活性に対する効果を検証したところ、DGKalphaのみならずDGKthetaも活性化することが明らかとなった。一方で、DGKiota及びDGKkappaに対しては強力な阻害作用を有することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究において、EGCg及びVtEの経口投与によるDN改善効果が糖尿病モデルマウスを用いた実験により実証されたことは今後の研究を進めていくうえで大きな進歩であった。さらに、EGCg及びVtEによるDN改善メカニズムについても、EGCg及びVtEがポドサイトの脱落を抑制していることを明らかにしたこと、さらには、EGCg及びVtEによるDGKalphaの活性化機構に関する知見が得られたことより、本研究がおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
EGCg及びVtEの経口投与がDNを改善することを明らかにしたが、このDN改善効果にDGKalphaが寄与しているのか否かをDGKalpha欠損マウスを用いた実験により明らかにする予定である。さらに、より優れたDNを改善する機能性食品の開発に向けてEGCgの誘導体であるメチル化EGCgを用いてDN改善効果を検証する。EGCg及びVtEのDN改善メカニズムの解明については、ヒト培養ポドサイトを入手しEGCg及びVtEがポドサイトに与える影響を検証していく予定である。
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Research Products
(4 results)