2016 Fiscal Year Annual Research Report
土石流の数値シミュレーションと現地観測に基づいた土砂流出量の長期推定モデルの開発
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16J02197
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
經隆 悠 筑波大学, 生命環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 土石流 / UAV / SfM-MVS / 数値シミュレーション / 深層崩壊 |
Outline of Annual Research Achievements |
静岡県大谷崩一の沢流域において,土石流と降雨の観測,UAV(ドローン)による地形測量を行った。UAV による空撮画像を多視点写真測量(SfM)技術により数値標高モデル(DEM)化した。このDEMと地上レーザー測量(TLS)で得たDEMとの比較から,UAVによる地形測量の精度が,土石流材料となる不安定土砂(勾配38度以下)の堆積領域において,誤差20 cm程度であることが分かった。また,作成したDEMの解析から,土石流によって地形変化の傾向が異なり,流出土砂量が降雨強度のみで定まらないことを明らかにした。 次に,土石流の発生と降雨の関係を整理した。土石流は,10分間降雨強度5 mm以上の継続時間または累積時間が相対的に大きな降雨で発生しやすいことが分かった。これらの非発生降雨との違いは,土石流発生前は明確であったが,土石流が3-4回発生した後では,非発生降雨のように10分間降雨強度5 mm以上の継続時間と累積時間が短い降雨で土石流が発生する場合があった。これらは,土石流の発生が降雨波形と過去の土石流による堆積土砂の変化の影響を強く受けることを示唆する。 観測・調査結果を用いて,数値シミュレーションによる観測された土石流の再現計算を行ったが,土石流ごとの侵食・堆積域を再現することはできなかった。その要因のひとつが,実際の土石流が混合粒径土砂で構成されるのに対し,数値シミュレーションでは土石流が均一粒径土石流として取り扱われているためだと考え,水路実験によって均一・混合粒径土石流の堆積過程の違いを検証した。その結果,均一粒径土石流は堆積時に左右がほぼ対称な扇状地を形成するのに対し,混合粒径土石流は右岸または左岸のどちらかに偏った左右非対称な扇状地を形成することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
UAVを用いた地形測量により,当初の想定よりも高い精度でDEMが作成できることが分かった。また,雨量計やタイムラプスカメラによる土石流の観測態勢が確立できた。そのため,現地データは十分に蓄積することができた。その結果,土石流発生危険降雨について想定していた以上の成果が得られた。一方で,モデル開発は当初の計画よりも遅れている。しかしながら,水路実験によって土石流の数値シミュレーションモデルの堆積過程における課題を明らかにすることができた。以上のことから,研究課題の遂行はおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
現地観測と調査を継続して行う。また,当該年度で得られた土石流の数値シミュレーションモデルの課題を考慮しつつ,申請時の計画に基づき,土砂流出量の長期推定モデルの開発を進める。
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[Presentation] Influence of grain-size distribution on formation of debris-flow fan2016
Author(s)
Tsunetaka Haruka, Hotta Norifumi, Sakai Yuichi, Nishiguchi Yuki, Hina Junya
Organizer
Joint Workshop of 2016 International Debris-flow Workshop and 6th International Workshop of Multimodal Sediment Disasters
Place of Presentation
Obaku Plaza, Uji Campus, Kyoto University, Kyoto, Japan
Year and Date
2016-11-29 – 2016-12-02
Int'l Joint Research
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