2016 Fiscal Year Annual Research Report
空間統計学と組成データ解析に基づく離散選択モデルの高度化
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16J02219
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉田 崇紘 筑波大学, システム情報工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 空間離散選択モデル / 空間組成モデル / 組成データ / GIS |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)空間離散選択モデル:空間多項ロジットモデルについて,各種推定手法の精度比較をモンテカルロ・シミュレーションによって行った.既往の推定手法(線形化GMM法,疑似ML法)に加え,地理学分野で開発された,簡便に空間的相関を考慮することができる方法として近年注目されている固有ベクトル空間フィルタリング(ESF)法についても比較対象とした.分析の結果,既往の推定手法はその特性通りのパフォーマンスを示したが,ESFは推定精度が不安定であった.この課題の検討は,翌年度も引き続いて行うこととしたい.研究の成果に関して,空間計量経済学の国際学会であるSpatial Econometrics Association にて発表を行った.この国際学会において,空間離散選択モデルのベイズ推定に取り組んでいる研究者と意見交換ができ,有益なアドバイスを頂いた. (2)空間組成モデル:対数比解析と単体解析という組成データ解析における主要な2つのアプロ―チの観点から,空間統計学(地球統計学,空間計量経済学)において提案されている統計モデルの整理を行った.特に,単体解析として整理することができる空間統計モデルは,その研究が近年活発であること,また,空間計量経済学に基づいたモデルに開発の余地が残されていることがわかった.この成果の一部については,土木学会・第53回土木計画学研究発表会(春大会)の空間統計セッションにおいて発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,空間離散選択モデルと空間組成モデルについてのレビュー・整理を経て,新たな方法論の開発に着手している.また,研究を進める中で,社会経済データならではの特徴を組成データ解析の観点から整理したことで,この手法の理論的な拡張可能性についても検討を行うことができた.これまでの成果を投稿論文としてまとめることに力点をおきながら,今後も計画通りに研究を進めることが可能であると判断できる状態である.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果を投稿論文,そして博士論文としてまとめる.また,空間統計学と組成データ解析のそれぞれの国際学会であるSpatial StatisticsとInternational Workshop on Compositional Dataに参加し,そこでの議論を活かして研究をより充実したものとする.
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Research Products
(4 results)