2017 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト由来ニューロンの非侵襲シナプス機能計測技術の開発とその薬効評価応用
Project/Area Number |
16J02472
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小田原 あおい 東北大学, 材料科学高等研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | ヒトiPS細胞由来ニューロン / 平面微小電極アレイ / カーボンナノチューブ / 神経伝達物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトiPS細胞由来ニューロンの非侵襲シナプス機能計測技術の開発とその薬効評価応用において、本年度は、神経伝達物質の非侵襲リアルタイム計測技術に関する開発と活動電位を指標としたシナプス関連薬剤に対する応答計測に関する研究を中心に進めた。平面微小電極アレイ(MEA)計測法は電極上に培養した神経ネットワークから発生する活動電位を細胞外で記録する手法であるが、神経ネットワークのシナプス部位で放出される神経伝達物質をリアルタイム計測できれば、神経伝達物質の放出異常で起こる統合失調症などのヒト神経疾患の解析や神経伝達物質の放出量を指標とした新しい薬効評価系の創出につながる。昨年度は、電気化学反応による神経伝達物質計測を可能とするカーボンナノチューブ(CNT)を電極材料とした平面微小電極アレイチップの開発を行った。今年度は、作製条件を更に検討し、ドーパミンの濃度を数nMレベルで定量的に検出できる高感度MEAチップの開発に成功した。作製したCNT-MEAチップ上に、ヒトiPS細胞由来ドーパミンニューロンを培養したところ、長期間の培養を確認し、自発活動において、ドーパミンニューロンから放出されるドーパミンを電気化学的にリアルタイム計測することに成功した。活動電位を指標とした薬効評価系の構築に関しては、ヒトiPS細胞由来中枢ニューロンを用いて各種シナプスのアゴニスト、アンタゴニストの投与法と計測時間等のプロコトルを構築し、濃度依存的な活動変化を検出した。また、末梢神経系であるヒトiPS細胞由来感覚ニューロンを用いて、各種痛み分子に反応するTRIPチャネル依存的な誘発応答を検出すると共に、抗癌剤であるオキサリプラチン、ビンクリスチンに対する応答性、および抗がん剤(オキサリプラチン)投与による冷過敏応答などの検出に成功した。これらの成果により、第44回日本毒性学会で優秀研究発表賞を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目的であったカーボンナノチューブ微小電極アレイ上に培養したヒトiPS 細胞由来ドーパミンニューロンから、ドーパミン放出の検出に成功したこと、および活動電位を指標とした各種シナプス関連薬剤の応答をヒトiPS細胞由来中枢ニューロンから検出することができた。また、ヒトiPS細胞由来感覚ニューロンから各種TRIPチャンネル依存的な痛み応答の検出および抗がん剤に対する応答を検出できたことからも、本研究は、順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度得られたカーボンナノチューブ平面微小電極アレイによるドーパミン計測技術を用いた薬剤応答の検出、活動電位を指標としたシナプス関連薬剤応答の解析法の検討、ポストシナプス後電流の計測および解析法を検討する。
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Research Products
(13 results)