2016 Fiscal Year Annual Research Report
精密パラメータ制御プラズマ活用グラフェンナノリボン集積デバイスの創成
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16J02495
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 弘朗 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | プラズマCVD / グラフェンナノリボン / ウェハスケール集積化 |
Outline of Annual Research Achievements |
三年計画の初年度において,精密パラメータ制御プラズマ活用グラフェンナノリボン集積デバイスの創成に向け,プラズマ化学気相堆積(CVD)中のグラフェンナノリボン合成機構解明と,その合成機構に基づいたグラフェンナノリボンのウェハスケール集積化合成に取り組んだ. 1. プラズマCVD中のグラフェンナノリボン合成機構解明 グラフェンナノリボンの合成機構解明に向けて,Ni薄膜を用いた系統的な実験,及び分子動力学シミュレーション及びフェーズダイアグラム計算による理論解析を行った結果,プラズマ照射によるNi中炭素濃度上昇によりNiと基板との濡れ性が向上することで,Niナノバー構造を高温下で維持可能となることが明らかになった.また架橋構造形成ダイナミクスに関して,冷却過程におけるグラフェン析出に伴うNi中炭素濃度の減少によりNi構造が不安定化し,最終的に架橋グラフェンナノリボンが合成されることが明らかとなった. 2. グラフェンナノリボンのウェハスケール集積化合成 上記の合成モデルに基づきプラズマ照射時間の制御によって高温下におけるNiナノバー構造の安定化と,冷却過程におけるNiナノバーの不安定化による架橋構造形成が両立される条件の同定を行った.その結果,プラズマ照射時間が最適な合成条件においては98%以上の高い効率でグラフェンナノリボンが合成されることが明らかになった.また合成条件最適化によって約1,000,000本のグラフェンナノリボンをウェハースケールで高密度集積化することに世界で初めて成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
二年計画の初年度にあたる今年度は,プラズマCVD中のグラフェンナノリボン合成機構解明を行う予定であったが,さらに次年度に行う予定であったグラフェンナノリボンの集積化にも着手し,合成機構に基づいた合成条件最適化によりウェハスケールでのグラフェンナノリボンの集積化合成に世界で初めて成功した.以上の成果が得られているため,本研究を"当初の計画以上に進展している"と評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
二年計画の初年度にあたる今年度は,ウェハスケールでのグラフェンナノリボンの集積化合成に成功した.一方でそれらを用いたデバイス動作はまだ実証されていない.そこで今後はグラフェンナノリボンを用いた電子デバイスを作製し,高性能電子デバイス動作を実証する.
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