2017 Fiscal Year Annual Research Report
高速応答感圧塗料を用いた実機レイノルズ数における非定常圧力場の解明
Project/Area Number |
16J02503
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
杉岡 洋介 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | 感圧塗料 / 非定常計測 / 実機レイノルズ数 / 飛行試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,実飛行状態における非定常圧力場の解明を目指し,実機レイノルズ数環境下で非定常圧力場計測の定量計測を実現する感圧塗料技術の開発およびその技術立証を行う.本目的の実現に向け平成 29 年度においては,「低表面粗さ高速応答感圧塗料および温度補正手法の遷音速風洞試験における実証」および「非定常Lifetime法の改良と応用」を行った. まず,吹き出し式の実機レイノルズ数風洞において問題となる模型の温度変化による圧力計測誤差を低減するために,感温塗料を用いた温度補正手法を遷音速風洞試験に適用した.旅客機形状の標準模型の左主翼に低表面粗さ高速応答感圧塗料,右主翼にユーロピウム錯体を用いた感温塗料を塗布し,マッハ数0.85,レイノルズ数2.0 × 106 ~ 3.0 × 106の気流中において圧力と温度を同時に計測した.その結果,温度補正により圧力計測精度が圧力係数CP値で0.1 (10%)程度改善することが確認された. 次に,模型変形による計測誤差を低減する技術として「非定常 Lifetime 法」の改良と応用を行った.昨年度実施した振動翼の遷音速風洞試験で得た知見を基にLifetime計測システムの設定値を最適化することにより,昨年度と比較して圧力感度は0.3%/kPa程度向上し,1 パルス当たりの発光強度は増大した.以上で得られた最適設定値を用いたLifetime計測システムを振動翼の遷音速風洞試験に適用し,昨年度と比較して信号雑音比が改善することを確認した.さらに,開発したLifetime計測システムを実機飛行試験に応用した.JAXAが所有する実験用ジェット機の主翼上に感圧塗料を塗布したシートを設置し圧力分布の計測を行った.飛行試験の結果,飛行姿勢や速度によって変化する衝撃波位置が明瞭に可視化された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
低表面粗さ高速応答PSPと非定常Lifetime法の開発はともに順調に進んでいる.昨年度製作が遅れていた試験装置の整備も完了し,サンプル試験を行う環境も整った.実機レイノルズ数風洞で試験を行うための課題である,温度変化による圧力計測誤差や感圧塗料の発光強度不足についても,温度の同時計測や計測システムの最適化,および特異値分解(SVD)などの解析手法を適用することにより,解決可能であることが示された.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度においては,平成29年度に開発・改良した「非定常Lifetime法」および「感温塗料を用いた温度補正手法」を遷音速風洞試験と実機飛行試験に適用し評価する.遷音速風洞試験においては,ボルテックスジェネレータなどの空力デバイスを設置した旅客機主翼上の非定常圧力分布を計測し,空力デバイスが遷音速バフェットを抑制するメカニズムを解明する.飛行試験においては,高高度巡航時の圧力分布の定量計測を目指す.これら試験と並行し,信号雑音比を改善するための解析手法の開発を進め,風洞試験や飛行試験におけるデータ解析に応用する.
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Research Products
(8 results)