2017 Fiscal Year Annual Research Report
がん細胞由来エクソソームの中枢との相互作用メカニズムの解明
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16J02928
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
黒田 広樹 東北大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | エクソソーム / 血液脳関門 / がん細胞 / 接着分子 / 受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではエクソソームが血液脳関門を透過する分子機構の解明を目標としている。前年度では脳転移性メラノーマ細胞株から放出されるエクソソームを用いて、脳毛細血管内皮細胞株hCMEC/D3細胞における取込受容体を探索した。本年度はスクリーニングから同定された候補タンパク質約400種類の中でも、既に報告されている脳転移性がん細胞由来のエクソソームに発現する接着分子と相互作用しうる接着分子X, Yのバリデーションを行った。接着分子の結合阻害ペプチドを添加した結果、エクソソームのhCMEC/D3細胞への取込はコントロールに比べ有意に約30%低下した。また、接着分子X, Yに対するアンタゴニスト抗体処理でも、hCMEC/D3細胞へのエクソソーム取込は有意に低下した。よって、このエクソソーム取込みに、接着分子X, Yが関与していることが示唆された。 本研究では更に、スクリーニングで同定されたウイルス受容体Zに着目した。ウイルス受容体Zは上記接着分子Xと共に、ある種のウイルスの標的細胞へのエンドサイトーシスに関与することが報告されている。ウイルス受容体Zに対するsiRNAを処理したhCMEC/D3細胞へのエクソソームの取込はコントロールに比べ有意に約40%低下した。よって、エクソソームの取込にウイルス受容体Zが寄与することが示唆された。ウイルス受容体Zに対するsiRNAを処理したhCMEC/D3細胞に、上述の結合阻害ペプチドを添加した結果、コントロールに比べエクソソームの取込が有意に約60%低下した。これはウイルス受容体Zに対するsiRNAのみ処理した条件に比べると、20%の低下傾向であったことから、接着分子X,Yとウイルス受容体Zは脳転移性メラノーマ細胞株由来エクソソームのhCMEC/D3細胞における取込において、共役して関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
同定したエクソソーム受容体候補分子の中から、新規の分子を含め、in vitroでのバリデーションに成功した。ただし、in vivoでの受容体としての機能証明には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
バリデートした受容体分子がin vivoで血液脳関門の血液側に発現することを証明するとともに、取込に寄与することを阻害剤を用いて示す。更に、内在化したエクソソームが脳毛細血管内皮細胞から脳側へと放出される機構に必要な分子の同定を目指し、研究を進める予定である。
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Research Products
(2 results)