2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16J02980
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
添田 裕人 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | セルロースナノファイバー / 複合材料 / 表面改質 / 界面 |
Outline of Annual Research Achievements |
TOCN酸化セルロースナノファイバー(TOCN)/セルローストリアセテート(CTA)複合体中の界面構造が、複合体物性に与える影響を検討した。TOCN/CTAの界面構造は、TOCN表面にポリエチレングリコール(PEG)鎖を導入することで制御した。 まず、TOCN/CTA界面におけるPEG層の存在の有無による物性への影響を検討した。その結果、界面PEG層がない場合は、従来のナノセルロース/ポリマー複合体と同様、TOCNの添加によってCTAマトリクスは硬く強く、脆くなる傾向を示した。一方、界面PEG層が存在する場合、CTAマトリクスは硬く強くなると同時に、より粘り強くタフになることが明らかとなった。この結果は、界面PEG層が存在することにより、変形中のエネルギー散逸が促進され、破壊に要するエネルギーが増加したことに起因すると考えられる。また、TOCNやPEGグラフトTOCNを添加した場合でも、CTAマトリクスの光学特性はほとんど変化せず、高透明性・低複屈折性を維持した。これはTOCNやPEGグラフトTOCNがCTAマトリクス中で凝集せず均一に分散していることを示唆している。 次に、TOCN表面に導入するPEGの分子量を変化させることで、TOCN/CTA界面層の厚さを制御し、その厚さが複合体物性に与える影響について検討した。この場合、導入するPEGの分子量によらず、TOCNは良分散性を維持しており、界面層厚さが与える影響のみを評価することが可能であると言える。結果として、TOCN/CTA界面層が薄いほど、ヤング率・破断強度の補強効果が大きく、破壊に要するエネルギーはある界面層厚さで最大となった。このことから、複合体を高強度化・高靭性化を両立するためには、適切な界面層厚さをデザインすることが重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に従った進度で研究が進んでおり、論文化に足る精度・量のデータの蓄積を達成しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もTOCN/CTA界面層の構造と物性の関係について検討する。まず第一にTOCN表面のグラフト鎖密度について検討する。その後、TOCNのアスペクト比や、グラフト鎖/ポリマーマトリクスの親和性(相溶性)について検討を行う予定である。
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Research Products
(4 results)