2016 Fiscal Year Annual Research Report
幼児期における他者の表情に応じた表情表出の発達的研究
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16J03042
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
枡田 恵 京都大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 表情 / 感情 / 幼児期 |
Outline of Annual Research Achievements |
他者と円滑にコミュニケーションをとるためには,相手の表情から感情を理解するだけでなく,自分自身が適切に表情を表出することが不可欠である。しかしながら,表情表出に関するメカニズムはまだ知見が不足している。表情表出に影響を与えるものの1つに、相手の表情が考えられるが、他者の表情に応じて自分の表情を表出するためには,まず、相手の表情を正確に理解すること、そして、自分が表出しようとする表情がどのような特徴を持った表情であるかについて理解していることが必要だといえる。そのため、まず本年度の研究では、幼児期の子どもが表情をどの程度正確に理解しているかを明らかにするために、基本感情を表す表情について、眉、目、口といった部位のレベルでの知識を調べる研究を実施した。具体的には、4歳から6歳児を対象に、参加児一人ずつに主人公が感情を経験する短いストーリーを読み聞かせ,その際の主人公の表情を,眉,目,口のパーツを一つずつ選んで作成するよう求めた。この結果、年齢が上がるにつれ、表情の知識は向上すること、理解しやすい表情の部位は感情の種類によって異なることが示された。このように本研究では,幼児期の子どもが持つ表情の知識を眉、目、口といった部位レベルで示し,幼児期の子どもが持つ表情の知識をより詳細に明らかにできたといえる。本研究で得られた知見は、他者とのコミュニケーション場面などより複雑な場面での表情表出の理解を調べる研究を実施する上で重要であるといえる。本研究の実施は終了し、現在、英文学術雑誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
他者の表情に応じた表情の表出を調べる上で明らかにしておくべきである、幼児が持つ表情に関する知識をオリジナルな課題を考案・作成し、幼児対象に研究を実施したことで、本研究課題の遂行に重要な知見を得ることができた。本研究の成果はすでに論文にまとめられ、投稿中であり、国内外の学会で発表予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、今年度の研究で得られた知見を活用し、他者の表情を考慮した表情表出といった、より実際のコミュニケーション場面に近付けた表情表出を調べる実験を4歳から6歳児を対象に実施し、データ収集、分析を行う予定である。そして、その成果を論文として、執筆し、学術雑誌へ投稿する。
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