2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16J03097
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 尚史 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 光子生成 / フィードフォワード / 量子ゲート / 量子メモリ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題「一方向量子計算を応用した非線形量子ゲートの実現」では、操作をする量子状態のタイミングを同期することが重要である。そのようなタイミング同期手法の一つとして「量子メモリ」を挙げることが出来る。そこで「量子メモリ」の最新技術について学ぶために、平成28年度4月26日から7月26日の3ヶ月間、Oxford大学のUltrafast quantum optics and optical metrologyグループに滞在し、量子メモリの研究に参加した。 帰国後は、非線形量子ゲートの1種である「3次位相ゲート」の実験装置の構築を進めた。特に、補助状態として用いる光子の生成に関して成果が得られた。本研究の光子生成には先行研究と大きく異なる方式が用いられているため、まずはその部分単体での実証実験を行った。結果について筆頭著者として論文を執筆し、Physical Review Letters誌に掲載された。また、学会やシンポジウム等でも発表を行った。今年度の後半は実証実験の次の段階として、実証実験を行った時の装置とほぼ同じ純度の光子を生成する能力を維持しながら、実験装置を大幅に小型化する改良を導入した。この改良した実験の結果は日本物理学会で発表し、論文も投稿準備中である。改良した装置は、来年度以降の実験でも用いる予定である。 その他にも、11月末にはチェコのPalacky大学の共同研究者を訪問し、一週間滞在した。滞在中は、3次位相ゲート以外の非線形量子ゲートを作る方法の理論について議論した。この結果の理論の論文についても投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非線形量子ゲートの実験装置は大きく分けて「補助状態となる、光子数重ね合わせ状態の生成装置」と「フィードフォワード操作を行う装置」から構成される。今年度は特に、前者の光子数重ね合わせ状態の生成装置の部分で成果があった。新たに導入した技術も予想通りの働きがあり、この部分についてはおおむね目標の性能に達した。後者の「フィードフォワード操作を行う装置」の部分についても、特注のFPGAボードが年度末に納入されるなど、組み立ての準備が進んでいる。よって、当初の目標の通り、来年度に3次位相ゲートを完成させデータを取得することを目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、3次位相ゲートの構築を進める。まずは、フィードフォワード操作を行う装置の部分を組み立て、非線形なフィードフォワードの動作を確認する。次に、今年度製作した「光子数重ね合わせ状態の生成装置」と接続して3次位相ゲートの実証実験を行う。今年度の海外渡航などを通して検討した結果、タイミングの同期は量子メモリを用いずに、ファイバー等で光路長を調整する方式を採用する予定である。以上の実験を通して、古典的な操作と3次位相ゲートの違いを明らかにする。
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