2016 Fiscal Year Annual Research Report
同位体分析および行動観察による野生チンパンジーの離乳時期の解明
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16J03218
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| Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
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Principal Investigator |
松本 卓也 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 特別研究員(PD)
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2016-04-22 – 2020-03-31
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| Keywords | 離乳 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、野生チンパンジーの行動観察および体毛の同位体分析から、野生チンパンジーの栄養的な離乳の時期を明らかにし、ヒトの生活史の特徴である「離乳の早期化」の進化的基盤について再検討することを目的とする。
今年度は、ヒト、およびチンパンジーの生活史に関する文献を収集し、パソコンを用いて情報を整理した。また、予備観察時に得られた野生チンパンジーの子の行動データを分析した。観察対象はアフリカ・タンザニアのマハレ山塊国立公園に生息する野生チンパンジー（M集団）である。5歳までの子の採食行動の発達変化を分析した結果、これまでチンパンジーの離乳時期とされてきた4－5歳よりも早く、3歳前後で採食行動の大きな質的変化が起こっていた。この成果は、本研究の目的である「野生チンパンジーの栄養的な離乳の時期の解明」について、乳首接触の終了としての離乳（従来の定義による離乳）の時期と、栄養的な離乳の時期がずれていることを示唆するものである。今後、体毛の同位体分析の結果と併せて考えることで、子が栄養的に離乳しているにもかかわらず母親が次子を出産しない、というチンパンジーの特徴を描き出せる可能性が示唆される。
本研究成果を、龍谷セミナー（4月）、生理人類学若手の会（6月）日本霊長類学会（7月）、国際霊長類学会（8月）において発表した。霊長類学・生態学・人類学を専門とする様々な研究者と議論する中で、今後研究成果を学術論文にまとめるための方針を洗練させた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
育児に係る採用中断を行ったため、進捗状況としては遅れている。本年度は予備観察において得られたチンパンジーの行動データを分析し、結果を学術大会等で発表した。また、主にヒト・チンパンジーの生活史に関する文献を収集し、情報を整理した。今後、本年度に収集した先行研究の情報を土台に、フィールドワークによる行動データ、および体毛の同位体分析の結果を解釈する。
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| Strategy for Future Research Activity |
来年度（2017年4月）より、採用再開予定である。本年度に実施されなかったアフリカ・タンザニアのマハレ山塊国立公園におけるフィールドワーク、およびチンパンジーの体毛の同位体分析を来年度に行う。
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