2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16J03226
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
横倉 諒 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2018-03-31
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Keywords | 超重力理論 / 超弦理論 / 超場形式 / 超共形対称性 / 反対称テンソルゲージ場 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、4次元超重力理論の超共形超場形式を用いて、超弦理論の現象論的な側面を探ることを目的とする。4次元超重力理論は、統一理論の候補である超弦理論から得られる現実的な模型を扱う1つの枠組みとして盛んに研究されている。超共形超場形式は、複雑な4次元超重力理論を簡潔に扱うための定式化の1つである。この定式化を用いることにより、超弦理論の模型の構築やその解析において、超重力理論の複雑さを克服することが期待できる。 最初に、超共形超場形式に関する研究を行った。まず超共形超場形式と既存の超重力理論の定式化の1つである超共形テンソル算法が整合することを示し、これらの定式化の間の具体的な対応を構成した。そして、超共形超場形式において、ゲージ場と物質場を結合させた定式化を行った。この定式化では、共形超重力理論で広く用いられている chiral compensator formalism を用いた。さらに、超共形超場形式が既存の超重力理論の定式化であるポアンカレ超重力理論および超共形テンソル算法とゲージ固定で結びつくことを具体的に示した。
次に、超弦理論に自然に現れる高階の反対称テンソルゲージ場を4次元超重力理論の枠組みで定式化した。超弦理論由来の反対称テンソルゲージ場は通常のゲージ変換に加え、ゲージ化されたシフト対称性を持ちうる。このような反対称テンソルゲージ場の超重力理論における定式化を超共形超場形式を用いて行った。特に、ゲージ場の場の強さを含む既約な超場、プレポテンシャルと呼ばれるゲージ場を含む超場、そしてシフト変換まで含めたプレポテンシャルの超場によるゲージ変換を特定した。これらを用いて、超共形超場形式において Chern-Simons 作用を構成した。この作用においてシフト変換まで含めたゲージ不変性から要求される作用の被積分関数に対する条件を特定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究では、当初目標としていた10次元超重力理論の超共形超場形式の構築には至らなかったが、4次元の超重力理論の定式化について整備することができた。特に、超共形超場形式が、従来の超共形テンソル算法と整合すること、そしてその一般的な対応を構築したことは本研究において超重力理論を扱う上で重要な結果である。 そして、シフト対称性まで含めた反対称テンソルゲージ場を、4次元超重力理論の枠組みで構成することができた。この構成の際に超共形超場形式を用いることで超対称性が明白な形で定式化できた。この結果は超弦理論の現象論を論ずる上で、特に模型の構築において役にたつと考えることができる。 これらの結果より、研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、今年度得られた結果を用いて、超弦理論由来の模型を4次元超重力理論の枠組みで構成することを考える。特に、シフト対称性まで含むゲージ対称性によってコントロールされた反対称テンソルゲージ場を用いた具体的な模型の構築を目指す。そして、このような反対称テンソルゲージ場を用いた模型が一般的にどのように作ることができるかということについても議論したい。
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Research Products
(11 results)