2016 Fiscal Year Annual Research Report
Deformation experiments of plagioclase under high temperature and high pressure: influence of water on the lower crust rheology
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16J03235
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| Research Institution | Tohoku University |
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Principal Investigator |
木戸 正紀 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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| Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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| Keywords | 斜長石 / 下部地殻 / 高圧変形実験 / 水のフュガシティ / 地殻応力 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
下部地殻領域では流体（水）が岩石の変形や破壊といったレオロジー特性に対して重要な影響を及ぼすことが知られている．本研究では，東北大学所有の固体圧試験機とガス圧試験機という2台の試験機を相補的に用いた実験的研究によって，下部地殻を構成する岩石のレオロジーに対して，高温・高圧の水が与える影響の詳細な理解を目指す．
初年度にあたる平成28年度は中部～下部地殻に相当する温度と圧力を発生させることのできるGriggs型固体圧式変形試験機を用いて人工斜長石多結晶体の変形実験を行った．実験は下部地殻に相当する封圧0.8～1.4 GPa，温度900 ℃で行った．実験前に試料の重さに対して0.5%の水を加え，高温・高圧下で軸圧縮変形を与え，差応力と歪を測定した．また，目標の温度・圧力を発生させた後に保持時間と変形時間を変えることで水が試料内部に浸透する時間を変化させ，変形特性と水の浸透時間との関係を調べた．
実験の結果，強度は水の浸透時間が長くなるほど低下する傾向がみられた．最も長い時間水を浸透させた試料は他のものに比べて著しく低い強度を示した．実験後のいくつかの試料に関して薄片を作成し，偏光顕微鏡，走査型電子顕微鏡で微細組織観察を行った．そのうちの一試料についてフーリエ変換型赤外分光計を用いて試料中の含水量分布を測定した．最も時間をかけて水を浸透させた試料は，試料の内部においてほぼ均質な含水量分布を示した．
本研究の差応力測定結果と低圧（～0.5 GPa）の実験から求められた既存の構成則から予測される強度とを比較した．実験結果はいずれの構成則より低い強度を示しており，水のフュガシティの効果による弱化の程度が低圧の実験からの予測より大きいことを示唆する．今後は微細構造観察と含水量測定を進め，斜長石の強度と水の効果について定量的な検討を行う予定である．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に当たる平成28年度は，斜長石のレオロジーにおける水の効果を定量化するために，Griggs型固体圧式変形試験機を用いて下部地殻条件で人工斜長石多結晶体の変形実験を行った．封圧を0.8～1.4 GPaと変えて行った実験の結果を，同様の試料に対する低封圧（～0.4 GPa）の実験を行った先行研究と比較した．どの封圧においても先行研究からの予測値よりも低い強度を示したことから，下部地殻に相当する高圧下では水の効果による弱化の程度が大きいことが示された．以上の研究成果は国内学会及び国際学会で発表した．また，結果をまとめた論文を国際学術雑誌に投稿準備中である．
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| Strategy for Future Research Activity |
含水変形実験試料の微細構造観察，含水量測定から，変形メカニズムの推定と水の濃度の分布と変形の不均質性について議論を行う．封圧の異なるデータを増やして水のフュガシティが斜長石の変形特性に与える影響に関して定量的な評価を進める予定である．また，東北大学設置のガス圧式変形試験機を使用して同様の試料に対して低圧の実験を行い，高圧の実験結果との比較を行う．
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