2017 Fiscal Year Annual Research Report
ファイルシステムの高信頼化およびパフォーマンスの改善
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16J03272
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
青田 直大 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2016-04-22 – 2019-03-31
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Keywords | ファイルシステム / ストレージ / 信頼性 / テール・レイテンシ |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度, Linuxにおいて多くの場面で活用されているファイルシステムテストツールのxfstestsをターゲットとし, その各種テストケースについて, Btrfs, Ext4, XFS上でどの程度のカバレッジがあるのかを計測した. その計測結果がファイルシステム作成のオプションやmountのオプションなど様々な設定項目といったパラメータにどのような影響を受けるのかを分析した. 今年度は, どうすればカバレッジを向上することができるかを明らかにして, ジャーナル誌への投稿を行った. ファイルシステムの信頼性の評価においては, 機能的な側面と性能的な側面との両面の評価が重要となる. カバレッジ分析により, 現状のテストがどの程度の機能を網羅しているかが分かり, 機能面での信頼性を評価することができた. 近年ではファイルシステムのパフォーマンス評価に関して, テール・レイテンシの問題が注目されている. ビッグデータやAIのような大規模分散処理では, 数千台のマシンに処理を分割して実行する. この時, 一つのマシンの処理の遅れによって全体の処理が遅延する. すなわち、これまでは大きな問題となっていなかったテール・レイテンシが, 数千台での処理の中では顕在化し, 問題となっている. カバレッジの分析から, ファイルシステムがある特定の状態の時に実行されるコードが存在することが分かっている. そうした部分でシステムコールの実行にかかる時間が長くなると予想される. 確認のためbtrfs, ext4, xfs, F2FS上において, ファイルの作成・削除などのシステムコールを多くのファイルに対して実行し, レイテンシを計測した. この計測により, 大規模な環境では無視できないほどの頻度かつ大きさのテール・レイテンシが発生していることがわかった. こうしたテール・レイテンシがファイルシステムのどのような要因によって発生しているのかを分析し, 現在ジャーナル誌への投稿を目指して結果をまとめ論文を執筆している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までのファイルシステムテストxfstestsのカバレッジの分析結果を元にして, どのような理由でファイルシステムのカバレッジが低下しているのかを明らかにした論文を執筆し, 投稿した. 続いて性能面でのファイルシステムの評価を行うため, 特に近年問題となっているテール・レイテンシに重点を置いて, ファイルシステムのパフォーマンスがどのような状況で悪化するのかを評価した. その結果から, btrfs, ext4, xfs, F2FSにそれぞれのファイルシステムにおいて, どのような状態の時に, どのシステムコールが遅くなるのかを明らかにし, その結果を元に論文を執筆している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず, 現在得られている分析結果を元に, 現在のファイルシステムのどのような部分が高いテール・レイテンシの要因となっているかを明らかにした結果をまとめてジャーナル誌に投稿を目指す. その後, 得られた知見を元として, そうしたテール・レイテンシを緩和するための手法を研究する. テストカバレッジの分析結果から, ある種のテール・レイテンシの要因では, ファイルシステムの側で更新処理を擬装し, ファイルシステム自体の編集を遅延することでテール・レイテンシを緩和できると考えている.
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Research Products
(1 results)